テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ いまも、紺碧の海へ ~

2022-07-31 20:52:04 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 すいぶんッ、すいぶんッ!」

「がるる!ぐるる!」(←訳:虎です!塩分も!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 外気温は軽く35℃越えの東京・多摩地域……

 気持ちだけでも涼やかになりますようにと、

 さあ、本日の読書タイムは、

 《海》の場面がいっぱいの、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 恐るべき子ども ――

 

 

 著者はリュック・ベッソンさん、

 原著は2019年に、

 画像の日本語版は2022年6月に発行されました。

 原題は『Enfant terrlble: Autobiographie』、

 『リュック・ベッソン《グラン・ブルー》までの物語』

 と日本語副題が付されています。

 

 ジャン・コクトーさん作『恐るべき子どもたち』は、

 子どもたち、と複数形になっているのに対し、

 こちらは、子ども、と単数形。

 

 では、その“恐るべき子ども”とは

 誰のことかというと……。

 

「それはァ、もッちろんッ!」

「ぐっるるがる!」(←訳:ベッソンさん!)

 

 映画監督、脚本家、さらには映画のプロデューサーも務める

 リュック・ベッソンさん。

 

 代表作としては、

 現在も大人気の『レオン』(1994)、

 『ニキータ』(1990)や

 『フィフス・エレメント』(1997)、

 そして『グラン・ブルー』(1988)

 が挙げられますが、

 私ネーさのお気に入り作品は『サブウェイ』(1984)。

 

 この御本では、

 初めての長編監督作品『最後の戦い』(1983)が

 幾つもの映画祭で賞を獲得し、

 続く『サブウェイ』で観客のハートを掴み、

 そして、

 カンヌ映画祭オープニング作品となった

 『グラン・ブルー』の

 脚本執筆から製作、撮影に心身をすり減らしつつも、

 ついに!……という、

 さながら”映画のような”ベッソンさんの半生が

 饒舌に語られています。

 

「ふううゥ~…たいへんでスねェ~…」

「がるるぐるっる……がる!」(←訳:映画の世界って……もう!)

 

 デジタル編集? CG? 

 いえいえ、『グラン・ブルー』を制作していた当時は、

 フィルムの時代でしたから、

 ベッソンさん御自身が特殊なカメラを抱え、

 海中でイルカの群に遭遇し、撮影るだけでなく、

 フィルムを現像して

 上手く撮れていなかったら撮り直し、

 なんていう悲惨なことも

 日常茶飯事だったのです。

 

 そういった技術的な問題に、

 莫大な予算や日程、複雑な権利関係が絡み、

 プライベートでも危機が連続して、

 プレッシャーは増すばかり。

 

 けれども、《恐るべき子ども》は

 前方に立ち塞がる困難を、壁を、

 駄々っ子のようにブチ破り、壊し、踏み越えてゆきます。

 

 《ぼくの子ども時代の夢だった映画》

 を完成させるために。

 

「いるかのォ、ゆめッ?」

「ぐるる?」(←訳:海の夢?)

 

 ベッソンさんのこの半生記の、

 クライマックスとも呼べる華々しいシーンは、

 『グラン・ブルー』が上映されるカンヌ映画祭で

 レッドカーペットを歩いた瞬間でしょうか。

 ハリウッドとつながりが出来て

 大スターさんたちと親しくなった時でしょうか。

 

 いいえ、おそらく、そうではなく。

 

 御本の前半に、

 それは描かれています。

 

 孤独をかこつリュック少年が、

 バカンス村の海で出会ったのは――

 

「……きたッ!」

「がるるる!」(←訳:イルカだ!)

 

 第六章『イルカと青い世界の底へ』の、

 リュック少年がイルカと邂逅する場面は、

 痛々しいほど美しく、

 私たち読み手の心を抉ります。

 何ものにも代えがたい、代えようのない、

 福音の記憶。

 その一瞬。

 

 ベッソンさんのファンの方々、

 『グラン・ブルー』好きな方々は、

 ぜひ!手に取ってみてくださいね。

 読み終えたら、きっと、

 『グラン・ブルー』を観たくなりますよ♫

 

 

コメント
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