「こんにちわッ、テディちゃでス!
あしたからァ~れんきゅうゥでスよゥ!」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!秋旅日和だよ!)
こんにちは、ネーさです。
お天気に恵まれそうな秋の連休……
紅葉狩りに行こうか、おイモ掘りなんんてどうだろう?
いや!僕は/私はインドア派だぞ!混雑時のお出かけはパス!
という御方は、さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~!
―― 文豪たちの『九月一日』 ――
編著者は石井正己(いしい・まさみ)さん、
2023年7月に発行されました。
『関東大震災百年――』と副題が付されています。
1923年(大正12年)の9月1日、
相模湾西北部を震源地とする
マグニチュード7.9の巨大地震が発生しました
(相模湾沿岸での震度は7)。
死者・行方不明者は10万5千人、
全壊・焼失家屋は57万戸、
被災者総数は340万人……
”被災者“の中には、
小説家さん、詩人さん、評論家さん、画家さんもいて、
この御本では、“被災者“となった彼らの
体験談や目撃譚が紹介されています。
「あくたがわァりゅうのすけェさんッ!」
「ぐるるるるるるがるるるる!」(←訳:志賀直哉さんに菊池寛さん!)
今年、夏から秋にかけて注目されたのは、
竹久夢二さんが『東京災難画信』で報じた被災者さんの姿や、
映画『福田村事件』に描かれた残虐な事件など、
関東大震災が生んだ悲劇的な事象でした。
天災と、人災。
文豪さんたちはそれぞれの視点から、
“私の見た震災“レポートを綴ってゆきます。
「ゆれるゥだいちィ!」
「がるるぐる!」(←訳:混乱と焦燥!)
以下は飽くまで私ネーさの個人的な感想ですが、
この御本の中で、最も冷静に、
最もジャーナリストに等しい立ち位置から、
“現場で何が起きたか“
を詳しく書き記したのは、
泉鏡花さんではないでしょうか。
現代では《幻想と怪奇》の作家として知られる鏡花さん、
大正12年10月に発表した『露宿』に、
地震発生時の地鳴りや、
隣家の者たちと裸足で外へ飛び出したこと、
火事を警戒して火の元の始末をしたこと、
台所から葡萄酒を2本持ち出して
近所の人たちと分けあって飲んだこと等を
時間の経過に沿って記述してゆきました。
「みんなでェ、たすけあいィ!」
「ぐるるるるるがるる!」(←訳:ご近所さんの有難さ!)
一方、鏡花さんとは異なる目線で
震災を眺めた作家さんもいます。
軍隊が無かったら安寧秩序が保てなかったろう、
礼賛すべきものはやはり威光燦たるサーベルではあるまいか、
と著したのは、佐藤春夫さん。
震災後の荒んだ東京の街に
悪夢を読み取る夢野久作さん。
思想家・大杉栄さんを襲った惨禍に
愕然とする内田魯庵(うちだ・ろあん)さん。
未曾有の災害は、
そこに居合わせたすべての人びとのこころを
波立たせずにはおきません。
「ひゃくねんまえッ、のできごとォだけどォ~…」
「がるるぐぅるるるる!」(←訳:他人事じゃないよう!)
どうか、こんな悲劇が
繰り返されることがありませんように、
とただ祈りながら。
全活字マニアさんにおすすめしたい災害の記録です。
本屋さんで、図書館で、ぜひ、探してみてくださいね。