「こんにちわッ、テディちゃでス!
あわわゥ! あれもォ~これもォ~♫」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!SALE価格だ!)
こんにちは、ネーさです。
いよいよBLACK FRIDAY本番!ですね。
掘出し物はあるかな~とネットの海をさまよいながらも、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらの海外作品を、どうぞ~♪
―― 最後の三角形 ――
著者はジェフリー・フォードさん、2023年8月に発行されました。
英語原題は『THE LAST TRIANGLE』、
『ジェフリー・フォード短篇傑作選』と日本語副題が付されています。
著者のアメリカ人作家ジェフリー・フォードさんは、
世界幻想文学大賞に7回、シャーリー・ジャクスン賞に4回、
ネビュラ賞、MWA賞、と輝かしい受賞歴をお持ちの
現代幻想文学のマエストロさんです。
日本で独自に編まれたこの御本では、
フォードさんの作品の中から、
SF、ホラー、ミステリなど、
14の短編1品が選出&収録されていますよ。
「ふしぎでェ~こわいィ~!」
「ぐるる~がるるる!」(←訳:怖くて~ヘンテコ!)
表題作品『最後の三角形』をはじめ、
シュールでミステリアスで、
けれど何処かコミカルな、
フォードさんの作品世界。
いずれもなかなかのヘンテコっぷりが愉しい14篇のうち、
今回ご紹介いたしますのは――
『恐怖譚』。
原題は『A Terror』、
2013年に発表されたこの作品の主人公は、
エミリー・ディキンスンさんです。
「じだいはァ~…」
「がるるるる!」(←訳:1861年!)
日本ではあまりメジャーではありませんが、
優れた詩人として米国で高く評価されている
エミリー・ディキンスンさん(1830~1886)。
マサチューセッツ州アマーストの自宅で暮らすエミリーさん、
このところ、体調がひどく悪くて苦しんでいました。
身体がだるい……手足が重い……頭痛がして……
呼吸が……気持ちも落ち込んで……うう、つらい。
が、眠りからふと目覚めると。
不調が失せて、手足が軽い!
気持ちも軽くなったエミリーさんは、
具合が良くなったことを家族に報せようと、
部屋を出て――
あれ?
「むむむッ、いないィ~?」
「ぐるがるるる?」(←訳:誰もいないよ!)
家の中に、誰もいない。
愛犬のカーロも、いない。
いえ、家の中だけじゃなく。
外にも、生きものの気配はない……?
その静けさを破り、
当惑するエミリーさんの前に現れたのは、
黒塗りの優美な四輪箱馬車と、
非の打ち所がない服装の若い紳士でした。
「どッ、どなたァでスかッ」
「がががるるるるっ」(←訳:もももしかしてっ)
問答の末、エミリーさんは理解します。
死神が、わたしを迎えに来た……。
体調が悪かったのは、ああ、そういうことだったのか。
そうか、なら、ならば、仕方ない……
仕方ない……けど、けれど……
わたし、まだ三十一歳なのよ。
仕上げの必要な詩が何十篇も、
ドレッサーの引出しで、
わたしを待ってるわ。
「うんうんうんッ、そうだよゥ!」
「ぐっるがっるるっる!」(←訳:もっと言ってやって!)
この事態を覆す妙手は、ないものか。
粘るエミリーさんに
死神紳士は答えます。
取引は得意かな、ミス・ディキンスン?
こうして、詩人エミリー・ ディキンスンさんと死神の、
生命を賭した”取引“が始まりました。
「きけんなァとりひきィ……!」
「がるるぐるるるぅ??」(←訳:上手く行くかなぁ??)
エミリーさんの生命の灯はここで消えるのか、
それとも?
全力で応援したくなる
エミリーさんの『恐怖譚』ならぬ冒険譚は、
英米文学好きな活字マニアさんにおすすめです。
巻末の『翻訳者あとがき』も併せて、
ぜひ、じ~っくりと味わってみてくださいね~♪