テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ここが詩人の踏ん張りどころ! ~

2023-11-24 22:08:20 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あわわゥ! あれもォ~これもォ~♫」

「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!SALE価格だ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 いよいよBLACK FRIDAY本番!ですね。

 掘出し物はあるかな~とネットの海をさまよいながらも、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの海外作品を、どうぞ~♪

  

 

 

             ―― 最後の三角形 ――

 

 

 著者はジェフリー・フォードさん、2023年8月に発行されました。

 英語原題は『THE LAST TRIANGLE』、

 『ジェフリー・フォード短篇傑作選』と日本語副題が付されています。

 

 著者のアメリカ人作家ジェフリー・フォードさんは、

 世界幻想文学大賞に7回、シャーリー・ジャクスン賞に4回、

 ネビュラ賞、MWA賞、と輝かしい受賞歴をお持ちの

 現代幻想文学のマエストロさんです。

 

 日本で独自に編まれたこの御本では、

 フォードさんの作品の中から、

 SF、ホラー、ミステリなど、

 14の短編1品が選出&収録されていますよ。

 

「ふしぎでェ~こわいィ~!」

「ぐるる~がるるる!」(←訳:怖くて~ヘンテコ!)

 

 表題作品『最後の三角形』をはじめ、

 シュールでミステリアスで、

 けれど何処かコミカルな、

 フォードさんの作品世界。

 

 いずれもなかなかのヘンテコっぷりが愉しい14篇のうち、

 今回ご紹介いたしますのは――

 

  『恐怖譚』。

 

 原題は『A Terror』、

 2013年に発表されたこの作品の主人公は、

 エミリー・ディキンスンさんです。

 

「じだいはァ~…」

「がるるるる!」(←訳:1861年!)

 

 日本ではあまりメジャーではありませんが、

 優れた詩人として米国で高く評価されている

 エミリー・ディキンスンさん(1830~1886)。

 

 マサチューセッツ州アマーストの自宅で暮らすエミリーさん、

 このところ、体調がひどく悪くて苦しんでいました。

 身体がだるい……手足が重い……頭痛がして……

 呼吸が……気持ちも落ち込んで……うう、つらい。

 

 が、眠りからふと目覚めると。

 不調が失せて、手足が軽い!

 気持ちも軽くなったエミリーさんは、

 具合が良くなったことを家族に報せようと、

 部屋を出て――

 

 あれ?

 

「むむむッ、いないィ~?」

「ぐるがるるる?」(←訳:誰もいないよ!)

 

 家の中に、誰もいない。

 愛犬のカーロも、いない。

 いえ、家の中だけじゃなく。

 外にも、生きものの気配はない……?

 

 その静けさを破り、

 当惑するエミリーさんの前に現れたのは、

 黒塗りの優美な四輪箱馬車と、

 非の打ち所がない服装の若い紳士でした。

 

「どッ、どなたァでスかッ」

「がががるるるるっ」(←訳:もももしかしてっ)

 

 問答の末、エミリーさんは理解します。

 

 死神が、わたしを迎えに来た……。

 

 体調が悪かったのは、ああ、そういうことだったのか。

 そうか、なら、ならば、仕方ない……

 仕方ない……けど、けれど……

 

   わたし、まだ三十一歳なのよ。

   仕上げの必要な詩が何十篇も、

   ドレッサーの引出しで、

   わたしを待ってるわ。

 

「うんうんうんッ、そうだよゥ!」

「ぐっるがっるるっる!」(←訳:もっと言ってやって!)

 

 この事態を覆す妙手は、ないものか。

 粘るエミリーさんに

 死神紳士は答えます。

 

   取引は得意かな、ミス・ディキンスン?

 

 こうして、詩人エミリー・ ディキンスンさんと死神の、

 生命を賭した”取引“が始まりました。

 

「きけんなァとりひきィ……!」

「がるるぐるるるぅ??」(←訳:上手く行くかなぁ??)

 

 エミリーさんの生命の灯はここで消えるのか、

 それとも?

 

 全力で応援したくなる

 エミリーさんの『恐怖譚』ならぬ冒険譚は、

 英米文学好きな活字マニアさんにおすすめです。

 巻末の『翻訳者あとがき』も併せて、

 ぜひ、じ~っくりと味わってみてくださいね~♪

 

 

コメント
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