テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 剣ヶ峰に、気象の未来を ~

2023-11-10 22:08:03 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ううゥ~むゥ? しずかァ~なのでス!」

「がるる!ぐるるるがるる~!」(←訳:虎です!虫の音がしない~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 耳を澄ませど、虫たちの歌声が全く聴こえなくなりました。

 気温が高い日が続いていたのになあ、もう冬の入り口かあ、

 と寂しく思いながらも、さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― ようこそ!富士山測候所へ ――

 

 

 著者は長谷川敦(はせがわ・あつし)さん、

 2023年10月に発行されました。

 『日本のてっぺんで科学の最前線に挑む』と副題が付されています。

 

 標高3776メートル、

 富士山頂の剣ヶ峰(けんがみね)に建てられた

 富士山測候所――

 

 その歴史は“冬“に始まりました。

 

「めいじのォ、むかァ~しィ!」

「ぐっるがるるぐる!」(←訳:たった一人で挑戦!)

 

 1895(明治28)年10月1日午前0時、

 ただ一人で、富士山頂での気象観測を開始したのは

 野中至(のなか・いたる)さん、28歳。

 

 これまで誰もやったことがない

 冬の富士山頂での観測は、あまりにも過酷で、

 至さんの手伝いをしようと

 後から山頂の小屋にやってきた妻・千代子さんとの二人体制になっても、

 トラブルは増してゆく一方で、

 野中夫妻は体調を崩してしまいました。

 

 観測を開始して82日、

 12月22日に、至さんたちを心配した人びとに説得され、

 夫妻は下山することに……。

 

「むりもォないィのでスゥ!」

「がるるぐるるがるぐる……!」(←訳:真冬の富士は魔境だよ……!)

 

 なぜ、富士山頂に測候所が必要なのか。

 

 その理由を、

 昭和の時代になって、

 ようやく本格的な測候所が開設されてゆく経緯を記しながら、

 著者・長谷川さんは明快に指摘します。

 

 富士山測候所に備えつけられた富士山レーダー、

 このレーダーができる前とできたあとで、

 大きく変わったことがある。

 

 レーダーができる前は、

 伊勢湾台風(1959年)のような大型台風が襲来すれば、

 数千人の人命が失われてしまっていた……

 

 一方、富士山レーダーが完成した1964年から

 役目を終えて廃止になった1999年まで、

 台風によって100人以上の死者・行方不明者が出たことは、

 一度もなかった。

 

「おおおッ!」

「ぐるるるる!」(←訳:そうなんだ!)

 

 科学に何ができるのか。

 

 富士山測候所の始まりから、

 強風にも耐え得る建物と

 観測機器を完備した測候所の設計・準備や、

 完成までの困難極まる道のり、

 高所に滞在する疲労と苦労、

 測候所廃止後も学術活動を継続させること。

 

 明治の昔から、

 現在の測候所と、

 気象の未来をも遠望するノンフィクション作品は、

 大人な活字マニアさんはもちろん、

 科学好きな小学生さんにもおすすめですよ。

 本屋さんで、図書館で、

 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

 

コメント
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