テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 《桃》好きさんのための。 ~

2021-07-21 23:21:10 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 えええッ? ねんないィしゅうりょうゥ~??」
「がるる!ぐるぅ!」(←訳:虎です!うそぉ!)

 こんにちは、ネーさです。
 大河ドラマ『青天を衝け』が年内終了と聞き、
 ショックで呆然です……
 てっきり1年かけて放送してくれるものだと……
 いまだ衝撃は冷めやらねど、
 元気と正気を取り戻すためにも、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの雑誌をどうぞ~♪

  


 
    ―― SAVVY 2021年 8月号 ――



 関西で発行されている月刊誌『SAVVY(サヴィ)』、
 8月号の特集は、
 表紙の写真からもお分かりのように、
 《桃》!!

「わッほほゥ♫」
「ぐるる~!」(←訳:大好き~!)

 入手が遅れてしまい、
 なので申し訳ないことに
 ご紹介も遅れてしまったのですが、
 ほぼ一冊すべて《桃》の特集なんて、
 とっても珍しくて、
 これはスルーできません。

 しかも、
 関西の《桃》情報ですって?

「みちなるゥせかいィ!」
「がるるぐる~!」(←訳:好奇心全開~!)

 東京圏、それも多摩地域に暮らしていると、
 お店で目にするのは、
 どうしてもお隣りの山梨県産の《桃》が多く、
 その次が、福島県産の《桃》、となりましょうか。

 つまり、私たち関東の《桃》愛好家が
 関西の《桃》を食する機会って、
 なかなか無いんです……。

「ざんねんッむねんッ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:食べてみたいよ!)

 食欲と知識欲おさえ難く、
 そろりそろりとページを捲ってみれば、
 おお! 
 さっそく《桃》が!

 『まるごと系スイーツ』では、
 《桃》のパフェ、
 パイ、ソルベ、かき氷、
 スムージー、クレープ、
 いま流行りのサンドイッチも。

「こッちもォ、すごいィでス!」
「がるぐぅーる!」(←訳:桃のジュース!)
「ぷりんッ!」

 ……ん? これは何でしょう?
 『グリーンピーチ』?

 新種の名前かしら?と思ったら、
 グリーンピーチとは、
 ”桃の成熟のために摘果された桃の子ども、若桃“
 のことなのだそうです。

 その『グリーンピーチ』を
 デセールに使う、と。

 いったいどんなお味なんでしょうか……?

 あ、レアなデセールという点では、
 こちらも大注目ですよ。

 『桃のタルトタタン』!

「ももォをォ??」
「ぐるるぅるる?」(←訳:焼いちゃうの?)

 180~190℃のオーヴンで2時間、
 余熱で1時間、
 できれば一晩寝かせてから、
 パートプリゼ(練り込みのパイ生地)を乗せ、
 再度オーヴンで焼いて、完成♪

 って、もう今すぐにでも関西へ飛んで
 実食したいわ!
 本来の、リンゴのタルトタタンより
 美味しいかもしれない?

「それはァ、たべてみてのォ~」
「がるるる!」(←訳:お楽しみ!)

 52ページの、
 全国の《桃》の産地、
 品種などについての解説に唸らされ、
 53ページの
 『だれでもできる!おいしい桃の切り方』では、
 そうか!こうすればいいんだ!と、
 背筋が伸びるような
 嬉しい驚きを味わいもする
 《桃》特集。

 ちょうど今日
 『SAVVY 9月号』が発売されたために、
 この8月号はバックナンバー扱いとなりますが、
 機会がありましたら、
 ぜひ、ご覧になってみてくださいね。
 《桃》大好き!な皆さまに、
 おすすめです♪
 
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ ヒッチコックさんと、お仕事を。~

2021-07-20 23:44:58 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 しょちゅうゥおみまいィ~もうしあげェまス!」
「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!今日もあぢぢ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 動物園のシロクマくんペンギンちゃんたちは、
 この暑さの中、どうしていることか……
 氷山の1個や2個をドカッと差し入れてあげたいなぁ~
 喜んでもらえるかなぁ~
 などと空想しながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
   ―― とりあえず、本音を申せば ――



 著者は小林信彦(こばやし・のぶひこ)さん、
 2021年3月に発行されました。
 『週刊文春』の2020年1月2・9日号から
 2020年12月31日/2021年1月7日号誌上に連載された
 コラム50編が収録されています。

 ……そう、
 あれは3週間ほど前のことだったでしょうか。

 私ネーさ、
 本屋さんで『週刊文春』を手にし、
 今週の小林さんのコラムは
 どんなテーマかしら~と
 浮き浮きしながら読んでいたところ、
 目に飛び込んできたのは。

  ……このエッセイも今週が最後になる……

 はい?
 え? 
 いま、なんと?
 え、ちょっと待って、
 どういうこと?

「さいごッてェ~…」
「ぐるるがる?」(←訳:最終回なの?)

 最終回……
 衝撃で、あまりにも衝撃で、
 今でもまだ信じられなくて、
 いえ、信じたくなくて、
 何かの間違いであって欲しいと願っています。

 だって、
 小林さんの文章が載ってない『文春』なんて、
 もう『文春』じゃないわ……!
 
「うううゥ、さみしいィ~…!」
「がるる~…」(←訳:悲しい~…)

 あ~…うっかり私情をブチ撒けてしまいました、
 本題に戻らなくては。
 
 えーと、その、
 上記のような次第で、
 『週刊文春』での連載は終了となりましたものの、
 この御本には、
 著者・小林さんが感じ取った
 《2020年》のさまざまな出来事が記されています。

 コロナウィルスによって世界が変わった
 未曾有の1年間。

 病身であるため、
 外出もままならぬのに、
 よりいっそう行動を制限されてしまって。

 けれど、ステイホームしながらも、
 小林さんは活路を見出します。

 BSプレミアムで放送される
 昔の映画……
 これが、いい!

「せいぶゥげきィ!」
「ぐるがる!」(←訳:黒澤映画!)
「あめにィうたえばァ!」
「がっるるっるぐる!」(←訳:ヒッチコック作品!)

 映画監督A・ヒッチコックさんと、
 小林さんには接点がありました。

 21世紀の現在でも
 米国のミステリ界を牽引する
 『EQMM(エラリー・クイーン・ミステリ・マガジン)』は、
 前回記事でご紹介した
 エラリー・クイーンさんの名を冠するメジャー誌です。

 そして、
 『EQMM』の対抗馬とも言える雑誌が、
 『AHMM(アルフレッド・ヒッチコック・ミステリ・マガジン)』。

 小林信彦さんは、
 日本語版『ヒッチコックマガジン』創刊編集長で、
 しかも、
 『ヒッチコックマガジン』と小林さんをつなげたのは、
 江戸川乱歩さん!

「むむむゥ! れきしィ、なのでスゥ!」
「がるぐるるるがるるぐるる!」(←訳:日本ミステリ史上の転換点!)

 この御本では、
 本文115ページの
 『マスクの乱・《サイコ》・捕物帖』で
 ヒッチコックさんに関して触れています。

 BSプレミアムで放送された
 『サイコ』(1960)と、
 ヒッチコックさん来日時の記憶。
 
 また、
 本文120ページの
 『カンヌ・ヒッチコック・流行歌』では
 ヒッチコックさんの作品&作風について
 思考してゆきますよ。

「みすてりィえいがッてェ~」
「ぐるるるるるるがる!」(←訳:簡単そうでいて至難!)

 ヒッチコックさん、
 《スターウォーズ》サーガに、
 三船敏郎さん、
 『七人の侍』、
 円谷プロ、
 ライザ・ミネリさんに
 フレッド・アステアさん。

 名作とされる映画、
 映画&興行の歴史について語らせたら、
 超一流!な小林さんの《本音を申せば》は、
 映画好きな活字マニアさん必読ですよ。。

 不定期でいいので、
 また『週刊文春』に
 エッセイを書いてくださったら
 嬉しいんだけどなぁ……
 と、しつこく切望する私ネーさイチ推しの一冊を、
 皆さま、ぜひ♪
 

 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ ふたりは、ひとり ~

2021-07-19 22:19:16 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ♪るるゥ~♪しゃんぜりィぜェ~♪」
「がるる!ぐるる~♫」(←訳:虎です!凱旋門~♫)

 こんにちは、ネーさです。
 《2021ツール・ド・フランス》の総合優勝を勝ち取ったのは、
 タディ・ポガチャルさん
 (国籍はスロベニア、UAEチーム・エミレーツ所属)!
 総合2連覇!山岳賞&新人賞も受賞の快挙でした。
 心からおめでとう~!
 と、パリでのゴール風景に拍手を送りながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
   ―― エラリー・クイーン 創作の秘密 ――



 編者はジョゼフ・グッドリッチさん、
 原著は2012年に、日本語版は2021年6月に発行されました。
 英語原題は『BLOOD RELATIONS:
 The Selected Letters ELLERY QUEEN 1947-1950』、
 『往復書簡1947-1950』と日本語副題が付されています。

「みすてりィのォ、おおごしょさんッ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:巨匠さんだね!)

 米国のミステリ作家、エラリー・クイーンさん。

 実際には、
 フレデリック・ダネイさん(1905~1982)、
 マンフレッド・B・リーさん(1905~1971)、
 という従兄弟ふたりで合作し、
 《クイーン》の名で発表していたことは、
 既に広く知られている事実です。

 ただ、
 知られていなかったのは、
 ダネイさんとリーさんが、

  《どうやって作品を著しているのか?》。

「つまりィ~…」
「がるるぐる!」(←訳:創作の秘密!)

 この御本の編者・グッドリッチさんは、
 ふたりの従兄弟が交わした書簡をもとに、
 《どうやって》を
 解き明かしてゆきます。

 先ず、
 全体の粗筋を描くのは、
 ダネイさん。

 粗筋とはいえ、
 けっこう詳しく、細部まで書き上げたものです。

 それへ、
 リーさんが
 ”小説的な肉付け”を行い、
 作品は完成に到る、と。

「うむゥ? でもォ~?」
「ぐるるがるるる!」(←訳:雰囲気トゲトゲ!)

 幼馴染みの2人が、
 仲良く、
 微笑ましく、
 ミステリ談義をしながら、
 名品を1作、また1作と仕上げてゆく……

 っていうような
 想像をしていた英米のミステリマニアさんたちは、
 この往復書簡集を読んで、
 ええっ!
 と、びっくりしたそうですよ。

「これはァ~…けんかッ?」
「がるぐる!」(←訳:空気険悪!)

 そうねえ、
 う~ん、でも、
 喧嘩とか険悪というより、
 敢えて表現するなら……

 《ダメ出し合戦》

 かしらねえ?

 相手にも、自分にも、ダメ出し。

 プロット、キャラクターなど
 作品についてのダメ出し。
 
 自分や家族の健康状態を愚痴ったり、
 雪が降ったとボヤいたり、
 財政状態を嘆いたり。

「あわわッ!」
「ぐる~!」

 でも、ですね。

 本当に仲が悪い、んでしょうか。

 本当の本当に仲が悪いんだったら、
 従兄弟だろうと何だろうと、
 手紙のやり取りどころか、
 口も利かないでしょうし、
 ましてや
 複雑極まるストーリーの長編小説を
 共同で執筆するなんて……
 できます?

「おそらくゥ~…」
「がるるるる!」(←訳:出来ません!)

 仲は、悪そうに見えたかもしれない。

 けれど、
 どこかで通じ合っていたから。

 通じ合っていたから、
 創作を続けることが、
 探偵《エラリー・クイーン》を動かすことが
 可能だった――

「そうだとォいいなッ♪」
「ぐるるるがるるぐるる!」(←訳:そういうことにしよう!)

 ダメ出しをし続けて、
 だからこそ生まれた名作たち。

 ミステリ好きとしては、
 そんな風に思いたくなる
 《ふたりでひとり》な巨匠さんの創作秘話集を、
 皆さま、ぜひ♪
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 《美》の回廊は、高細密で! ~

2021-07-18 22:17:26 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 えあこんにィ~かんしゃッ!なのでスゥ!」
「がるる!ぐるっるがる~!」(←訳:虎です!涼風って尊い~!)

 こんにちは、ネーさです。
 エアコンに感謝しつつも、
 出来れば天然の涼しい風が欲しいなぁ♪
 なんて呟いたりしながら、
 さあ、連休只中も読書タイムと参りましょう。
 本日は、こちらの大判アート本を、どうぞ~!

  


 
    ―― NHK 8K ルーブル美術館 ――



 編著者は小池寿子(こいけ・ひさこ)さん、
 三浦篤(みうら・あつし)さん、
 NHK『ルーブル美術館』取材班の皆さん、
 2021年4月に発行されました。
 『MUSÉE du LOUVRE』と仏語題名が、
 『美の殿堂の500年』と日本語副題が付されています。

 表紙をドーン!と飾るのは、
 あら、美術館の“顔”である
 『モナ・リザ』じゃないんですね。
 ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルさんの
 『グランド・オダリスク』
 (1814年制作)ですよ。

「だいたんッふてきィ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:明暗と目ヂカラ!)

 この作品は、
 1819年のサロンに出品され……
 酷評されました。

 解剖学的に違うでしょ!
 こんなポーズとれないでしょ!
 などなど言われ放題。

 けれど今では立派な
 ルーブルの看板役者さんのひとり、
 となりました。

「ぱちぱちぱちィ~!」
「がるぅ!」(←訳:拍手ぅ!)

 この御本は、
 NHKの8K番組『ルーブル美術館 美の殿堂の500年』
 をもとにして、
 ルーブル所蔵の名品42点の画像と解説、
 コラム、美術館の年表等が
 収録されています。

 中でも特筆すべきは、
 画像の精度!

 作品それぞれの画像は、
 8Kの静止画(キャプチャ)と
 RMN(フランス国立美術館連合)などの
 スチール写真を併用している、
 とのことですが、
 細部までクリアです。

「むずかしィんでス!」
「ぐるるがるっる!」(←訳:絵画の撮影って!)

 平べったいモノを、
 きれいに撮る――
 画面の中央から端まで
 ブレたり
 ズレたり
 歪んだりすることなく
 ピントを合わせるのは
 まさにプロフェッショナルの技。

 ルーブルとNHKには
 余程の凄腕さんがいらっしゃるのでしょう。

 レオナルドさんの『岩窟の聖母』、
 ルーベンスさんの『マリー・ド・メディシスの生涯』連作、
 ジェリコーさんの『メデューズ号の筏』、
 フェルメールさんの『レースを編む女』、
 ラ・トゥールさんの『ダイヤのエースを持ついかさま師』……
 どれも見応えありまくりですよ。

「でもォ、すくないィ~!」
「がっるぐるるる!」(←訳:もっと観たいよ!)

 ええ、収蔵品の質も量も
 世界トップクラスのルーブルですから、
 この御本には収め切れなかった作品が
 多数ありますよね。

 私ネーさとしては、
 『モナ・リザ』のすぐ近くに展示してあるという、
 ティツィアーノさんの
 『手袋を持つ男の肖像』を
 8Kで拝見したかったわ……

 フェルメールさんの『天文学者』も……。

「ぞくかんッ、きぼうゥでス!」
「ぐるるるがっる~!」(←訳:第2巻も作って~!)

 図版も、
 解説の文章も、
 アート好きな方々にとっては
 楽しくてたまらない
 《美の殿堂》の展示室を
 歩いているかのような一冊です。

 美術史、フランス史好きな
 活字マニアさんにもおすすめですよ。
 本屋さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 中禅寺先生に、死角なし ~

2021-07-17 23:30:37 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ちょこもなかッ!」
「がるる!ぐるる!」(←訳:虎です!MOW!)

 こんにちは、ネーさです。
 私は『モナ王』をパクリ!……と、
 冷菓三昧で猛暑を乗り切り、
 日も暮れたところで、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらのコミック作品を、どうぞ~♪

  


 
    ―― 中禅寺先生 物怪講義録 04 ――



 原作は京極夏彦(きょうごく・なつひこ)さん、
 漫画は志水アキさん、2021年7月に発行されました。
 『中禅寺先生が謎を解いてしまうから』と
 副題が付されています。

「せんせいィ、おひさしぶりィ~!」
「ぐるるがるるる?」(←訳:今日も図書室に?)

 作家・京極夏彦さんのデビュー作
 『姑獲鳥の夏』にて登場した名探偵、
 中禅寺秋彦(ちゅうぜんじ・あきひこ)さん。

 このコミック作品は、
 中禅寺さんが《京極堂》を名乗るよりも以前の、
 高校で講師のお仕事をしていた時代の出来事が
 描かれています。

「しょうわァ、でスねッ?」
「がるぐるるがる!」(←訳:昭和23年だよ!)

 国語の臨時講師・中禅寺先生の、
 生徒のひとり、
 日下部栞奈(くさかべ・かんな)さん。

 読書好きで、
 ミステリ好きな栞奈さんは、
 なぜか学校内外で起きた
 謎めいた出来事に巻き込まれることが多く、
 そうなると、
 駆け込む先は――

「じけんでスゥ、せんせいィ!」
「ぐるるがる~!(←訳:謎解き希望~!)

 大抵の場合、
 図書準備室で読書に耽っている中禅寺先生。
 
 しかし、
 第4巻目となるこの御本で、
 事件を持ち込んできたのは、
 栞奈さんではなく、
 旧友・榎木津さん……の、お兄さんなのでした。

「おにいィさんッ?」
「がる……ぐるる?」(←訳:似て……ないね?)

 榎木津総一郎(えのきづ・そういちろう)さんは、
 元華族という肩書に頼らない
 新進実業家さんです。

 青山にあるジャズクラブの経営も、
 ごく順調に行っている……
 と思われていたのですが、
 最近、気になることが……?

「まだァ、じけんじゃないィけどォ~」
「ぐるるがる?」(←訳:事件は近し?)

 ほんのちょっとの、
 小さな違和感。

 その違和感が転がって、
 雪玉のように膨らんでゆくと、
 はい、中禅寺先生の出番です。

 そしてまた、
 先生の名推理と同じくらい印象的なのが、
 『骨董今川(こっとう・いまがわ)』の
 今川雅澄(いまがわ・まさすみ)さん!

 圧倒的なヴィジュアル!
 というしかない今川さんの登場、
 中禅寺家の愛猫ちゃんのエピソードは、
 この第4巻の見せ場でしょうか。

 根っからの《京極堂》ファンとして
 小説版以外は認めないぞ!
 という御方も、
 コミック版今川さんを
 一度はご覧になってみてくださいな。

「いちどォみたらァ、もうッ!」
「がるるるる!」(←訳:忘れません!)

 中禅寺先生と栞奈さんの
 愉快な謎解き譚で、
 あはは♪と笑える週末の読書タイムを、
 皆さま、ぜひ。
 
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 幕よ、あがれ! ~

2021-07-16 22:21:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あちゅちゅちゅいィ~!」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!水分必須!)

 こんにちは、ネーさです。
 梅雨明けした途端の猛暑にぐったり……
 そんな日の締めくくりは、
 はい、の~んびり読書タイムですよ。
 本日は、こちらのエッセイ作品を、どうぞ~♪

  


 
       ―― 予測不能 ――



 著者は三谷幸喜(みたに・こうき)さん、
 221年4月に発行されました。
 『三谷幸喜のありふれた生活⑯』と
 シリーズ名が付されています。

「ぷふふッ♫」
「ぐるるっ♪」

 ええ、もう表紙を見ただけで、
 プッと吹き出しちゃいますね。

 現在も朝日新聞に連載中のエッセイ
 『ありふれた生活』の単行本第16冊目の装画は、
 著者・三谷さん御自身。

 なお、本文内には、
 前巻と同じく和田誠さんの挿絵が掲載されていますよ。

「どれもォ、かわいいィ~!」
「がるぐるる!」(←訳:特にカモメ!)

 そうね、本文131ページの、
 小さなカモメくんの愛らしさときたら!
 ……っと、いけない、話が逸れました。
 本題に戻って、
 三谷さんの愉快なエッセイにどっぷり浸かりましょう。

 にしても、
 三谷さんの連載を毎週読んでいない御方は、
 表紙画の不思議さに
 首を傾げるかもしれません。

 ……これは、三谷さん……だよね?

 ……なんで、お着物……?

 ……それも、若い娘さんのような、赤いおべべ……?

 ええ、この奇装には、
 深い理由があるのでございます。

「ぶたいィ、なのでスゥ!」
「ぐるるがる!」(←訳:幕末物です!)

 2018年の3月、
 三谷さんは新橋演舞場の舞台袖にいました。
 ちょうど、
 三谷さんの作品
 『江戸は燃えているか』
 の上演真っ最中だったのです。

 ところが、そこにアクシデントが!!

「たたたッ。たいへんッ!」
「がるるぅっる!」(←訳:倒れちゃった!)

 勝海舟の娘ゆめ役で出演中の、
 松岡茉優さん。

 昼公演が終わった直後、
 過労による貧血と脱水症状で
 松岡さんは倒れてしまったのです。

 大事に至ることはないが、
 夜公演は無理ですと
 お医者さまに告げられ、
 三谷さんたちスタッフ陣は慌てました。

「ちゅうしィ、でスかッ?」
「がるっるぐるるる?」(←訳:チケット払い戻し?)

 人気の公演ゆえに、
 全席完売、
 当日券を求めるお客さんの長い行列ができているし、
 今日のためにわざわざ
 地方からやって来た方々もいる……

 いや、だめだ!
 ショーマストゴーオン!
 幕を開けよう!

 松岡さんの役は、
 僕がやる!

 と、決意表明する三谷さん。

「ひェッ?」
「ぐる?」

 若い娘さんの役を、
 五十代の男性が演じる?

 いったい舞台はどうなってしまうのか――

「つづきィはァ~」
「がるる!」(←訳:御本で!)
 
 手に汗握る《”女優“三谷さんの大冒険》全幕、
 息子さんと三谷さんの《ダンゴムシ飼育記》、
 戦隊モノに熱狂する日々、と
 2017年11月から
 2019年2月にかけてのエピソード、
 そして、
 映画『記憶にございません!』公開記念の
 期間限定ブログなど、
 大笑いしたり涙したりのエッセイは
 演劇好きな活字マニアさんに
 おすすめですよ。
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 
 
  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 遠ざかる王朝の裳裾 ~

2021-07-15 23:40:02 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 とんぼォ、もくげきィしましたでス!」
「がるる!ぐるる!」(←訳:虎です!赤と黒!)

 こんにちは、ネーさです。
 毎年我が家にやってくるオハグロトンボくんと、
 赤い胴体の子はナツアカネくん、でしょうか。
 今年はトンボの当たり年かも?と思いながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの新書を、どうぞ~♪

  


 
  ―― 名画で読み解く プロイセン王家 12の物語 ――



 著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、
 2021年5月に発行されました。
 ハプスブルク家やブルボン王朝、
 ロマノフ家、イギリス王家に続いて
 《名画で読み解く 王家の物語》シリーズ最新作は、
 プロイセン王家をテーマとしています。

「ぷろいせんッ??」
「ぐ~る??」(←訳:え~と??)

 プロイセン王家……

 そのぅ、ええ、正直に言いますと、
 現在も続いている英国の王家、
 マリー・アントワネットさんの存在が際立つ
 フランスの王家などに比べ、
 プロイセン王家って
 知ってるようで知らないわよね。

 著者・中野さん御自身も、
 『序章』で↓こんな風に記しています。

   ドイツ統一を果たした
   プロイセン(=プロシャ)の王朝が、
   ホーエンツォレルン家。
   であるのに。

   ホーエンツォレルン家の知名度は
   決して高くはない。

「じみィ~…」
「がるぐるるる~」(←訳:華がないよね~)

 ただね、、中野さんはこうも述べているんです。

   だがこのホーエンツォレルン家こそが、
   現代ヨーロッパ地図の
   原型を作ったのだ。

 フリードリヒ大王、
 フリードリヒ・ヴィルヘルム三世と
 ルイーゼ王妃(御本表紙の女性です)……

 しかし、読み進んでゆくうち、
 私たちの眼は、
 或る人物に
 どうしようもなく
 吸い寄せられてしまいます。

「むむッ! このォなまえェ!」
「ぐるるがるるぐるる!」(←訳:聞いたことがあるよ!)

 オットー・フォン・ビスマルクさん。

 通称《鉄血宰相》。

 著者・中野さんによれば、
 “フリードリヒ大王と並ぶ
 プロイセン史上最大のスター“
 にして、
 “ドイツ帝国を創設”した政治家です。

 王族ではないものの、
 地主貴族(ユンカー)出身のビスマルクさんは、
 ヴィルヘルム一世を援け、
 というより、
 王に匹敵する政治力を持ち、
 英国の外務大臣さんは
 ↓こう評しました。

 プロイセン王ビスマルク一世。

「むむゥ~んッ? それはァ~…」
「がるるるるぐるがるるる~…」(←訳:近寄らない方が良さそう~…)

 鉄血宰相さんが造り上げた
 盤石の王国。
 それでも、
 時勢には敵いませんでした。

 第一次大戦後、
 王政廃止となって、
 ホーエンツォレルン家のヴィルヘルム二世は
 オランダに亡命します。

 ひとつの王朝が
 終焉を迎えた、んですね。

「ふうゥ!」
「ぐる~!」

 プロイセン王家の興亡に沿って、
 王族たち政治家たちの肖像画が多数配され、
 アート本としても、
 近代ドイツ史入門書としても、
 楽しく読める一冊です。

 肖像画好きな方々にも
 おすすめですので、
 本屋さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね~♪
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 好漢、《祭》に仕掛ける ~

2021-07-14 23:26:37 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ないすゥ~ぴッちんぐゥ!」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!勝利投手だし!)

 こんにちは、ネーさです。
 ホームランダービーから一夜明けての
 MLB球宴本番は優雅でしたね♪
 大谷選手をはじめ、
 全選手さんスタッフさんに拍手を送りながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらのコミック作品を、どうぞ~!

  



      ―― パリピ孔明 6 ――



 原作は四葉夕ト(よつば・ゆうと)さん、
 漫画は小川亮(おがわ・りょう)さん、
 2021年7月に発行されました。
 《パリピ孔明》の第6巻は、
 『新章《演芸合戦》開幕!』
 だそうですよ~♫

「えんげいィ~がッせんッ??」
「ぐるるるがる??」(←訳:何だろうソレ??)

 名作《三国志》――
 その数多い登場人物の中でも、
 頭脳のキレ度はピカイチ!
 知略も機転も他を圧倒!
 といえば、あの御方……

 諸葛亮孔明(しょかつ・りょう・こうめい)さん。

 何の因果か、
 五丈原の陣中にて没したはずの孔明さんが、
 現代の渋谷に転生してしまって、
 本人さえ啞然呆然、だったのですが。

「てきおうりょくゥ、たかしィ!」
「がるるるぐる!」(←訳:順応力も速し!)

 そう、異国やら異時代やらに
 アタフタしている暇はありません。

 なぜなら、孔明さん、
 出会ってしまったのですから。

 歌手を目指す、
 英子(えいこ)さんという女の子に。

「いざァ、ともにィ~ゆかんッ!」
「ぐるるるる!」(←訳:天下への道!)

 軍師として、
 英子さんの“大望“をサポートすることになり、
 すでに幾多の計略を成功させてきた孔明さん、
 この6巻では
 初めて渋谷を離れます。

 新幹線に乗って、西へ。

「きょうとォ、でスねッ!」
「がるぐっるぅる!」(←訳:祭だワッショイ!)

 そもそもは、
 英子さんの母・翔子(しょうこ)さんとの
 “賭け”が発端でした。

 音楽の道と、
 堅実な道。
 
 堅実な道を歩みなさいと言う母を、
 英子さんは説得しようとします。
 ”歌のチカラ“で。

 それが、いつのまにか……?

「えんげいィ~がッせんッ!」
「ぐるがる~る!」(←訳:参加しま~す!)

 いや、演芸合戦っていうより、
 これって天下一武道会でしょ?

 と言いたくなる大仕掛けなお祭りを舞台に、
 英子さんは、
 軍師・孔明さんは、
 どんな秘策を用いるのか――

 《三国志》ネタが
 前巻よりもあちこちに散りばめられた第6巻、
 古典好きな活字マニアさんや、
 京都大好き♪な方々、
 もちろん《三国志》ファンにも
 おすすめです。

 Webで読むことも出来ますが、
 書籍版『パリピ孔明』を、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫
 
 

  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ お江戸、街角パレード ~

2021-07-13 19:23:04 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おおたにィさんッ、おつかれさまァ~でス!」
「がるる!ぐるるがるるる!」(←訳:虎です!高地はキツそう!)

 こんにちは、ネーさです。
 MLB球宴でのホームランダービーなるものを
 初めて拝見いたしました。
 必要とされるのは、
 運!体力!背筋!会見での面白トークスキル!
 ……メジャーリーグって大変なところねぇと感心しつつ、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらのアート本を、どうぞ~♪

  


 
       ―― 浮世絵動物園 ――



 著者は赤木美智(あかぎ・みち)さん、
 渡邊晃(わたなべ・あきら)さん、
 日野原健司(ひのはら・けんじ)さん、
 監修は太田記念美術館の皆さん、
 2021年5月に発行されました。
 『江戸の動物大集合!』と副題が付されています。

「ごろにゃんッ!」
「ぐる!」(←訳:わん!)

 猫たち、犬たち。

 浮世絵を中心とする
 江戸期日本美術の画面に描かれているのは
 どんな動物か?といったら、
 やっぱり、
 1位と2位はニャンコとワンコですよね。

 特に、ニャンコは圧倒的だわ。
 有名な
 歌川広重さん作『名所江戸百景 浅草田圃酉の町詣』
 を筆頭に、
 花魁さんに抱かれていたり、
 子どもたちと遊んでいたり、
 着物の袖にくるまって眠っていたり。

「わんこもォ、がんばッてまスゥ!」
「がるるぐるる!」(←訳:日本版チワワ!)

 日本固有の小型犬、狆(ちん)。

 江戸時代には
 小型の犬を総称して狆と呼んだ、
 とのことですが、
 あらら♪
 真っ黒くんや赤毛くん、
 茶毛、銀白毛、白黒くん、と
 いろんな狆くんがいるんですね。

「にぎやかァでスねッ」
「ぐるるがるるる?」(←訳:猫よりカラフル?)

 と、かように
 浮世絵界で引く手あまただった
 ニャンコ&わんこに始まって、
 この御本では、
 お馬さん、
 金魚やカニ、
 カレイ、ハマグリ、
 コウモリ、ツバメ、スズメ、
 挙句はクジャクまで
 登場いたします。

 クジャクが描かれているのは、
 本文50~51ページの
 鳥高斎栄昌(ちょうこうさい・えいしょう)さん作
 『扇屋見世略 はしたて あやこし はなひと』
 という、
 寛政3~10年(1791~98)頃の
 大判錦絵なのですが、
 ちょっとビックリしましたよ。

 鳳凰のようなボディ、
 クジャクそのものの豪華な羽根……
 これは想像図じゃないわよね?

 誰かが輸入したクジャクを
 絵師さんがスケッチして、
 錦絵にしたんでしょうか。

「おえどのォ、まちかどはァ~」
「がるるるぐるる!」(←訳:ホントに動物園!)

 もうひとつ、
 見入ってしまったのは、
 本文35ページの
 歌川芳形(うたがわ・よしかた)さんの
 『東海道 藤澤』。

 文久3年(1863年)制作のこの作品には、
 蹄(ひづめ)の手入れをされている
 お馬さんが描かれています。

 当時、西欧社会では
 蹄鉄(ていてつ)が使われていました。

 一方、江戸時代以前の日本には、
 蹄鉄というモノがなく、
 お馬さんの足に
 草鞋を履かせていたのです。

「もしもォ、いじんさんがァ、もくげきィしたらァ~」
「ぐっるがる!」(←訳:きっと驚愕!)

 動物たちの
 生態や習慣、
 解説の文章までも楽しい
 お江戸の町の《動物》事情。

 実在の動物たちは当然ですが、
 空想の動物たち、
 動物をネタにした
 擬人画、判じ絵なども
 ちゃあんと描き込まれています。

 のんびり動物園にお出掛けできるのは、
 まだまだ先かもしれませんが、
 皆さま、ぜひ、手に取ってみてくださいな。
 特に、ニャンコわんこ大好きな、
 歴史マニアさんに
 おすすめですので、
 ぜひ~♪




 
 
 
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 闇と光の時代 ~

2021-07-12 22:35:36 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おめでとうゥ、いたりあァ~!」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!戴冠だあ!)

 こんにちは、ネーさです。
 祝優勝!
 ロンドン・ウェンブリースタジアムでの決勝で、
 EURO2020の頂点に立ったのはイタリア!
 いつか日本もW杯の場であんな風に……と
 夢見たりしながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
      ―― アンブレイカブル ――



 著者は柳広司(やなぎ・こうじ)さん、
 2021年1月に発行されました。
 『Unbreakable』と英語題名が付されています。

 『ジョーカー・ゲーム』
 『ダブル・ジョーカー』を中心とする
 《ジョーカーゲーム》シリーズで
  “スパイ・ミステリ“ジャンルの
 第一人者となった著者・柳さんによる――

「くんくんッ!
 うゥむゥ、におうゥのでスよゥ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:スパイの匂い!)

 ええ、そうなんです、
 この御本もまた、
 “スパイ・ミステリ”……いえ、
 “間諜ミステリ”と呼ぶべきでしょうか。

 収録されている
 
 『雲雀(ひばり)』
 『叛徒』
 『虐殺』
 『矜恃』

 という4作品の背景は、
 20世紀前半の日本です。

 つまり、そこは……
 《自由》のない世界。

「ぎすぎすゥしてまスゥ!」
「がるぅ~…」(←訳:窮屈ぅ~…)

 『雲雀』の始まりは、
 北海道は函館の、
 とある建物の、
 とある部屋から。

 もと漁夫であった
 谷勝巳(たに・かつみ)さんと
 萩原純彦(はぎわら・すみひこ)さん。

 そして、ふたりの前に座っているのは、
 ”プロレタリア文学の旗手“
 “気鋭の小説家”
 と評されている
 小林多喜二(こばやし・たきじ)さん。

 まるで銀行員のような風貌の、
 実際に拓殖銀行小樽支店の
 行員である小林さんは、
 谷さんと荻原さんに、
 取材をしている最中のようです。

 そのテーマは……
 蟹工船での生活。
 
「わおォ!わおおッ!」
「ぐるぅ!」

 そうよね、
 活字マニアさんでしたら、
 胸躍らせる場面よね。

 私たちはまさに
 20世紀日本文学の傑作とされる『蟹工船』を
 小林さんが執筆しようとしている、
 その現場に立ち会おうとしているのかしら♪と。

 けれども……?

「へんでスゥ!」
「がるるぐる!」(←訳:なにかヘン!)

 谷さんと萩原さん、
 どこか居心地が悪そうで、
 萩原さんは顔色もよくありません。

 実は、彼らふたりが
 小林さんの取材に応じたのは、
 或る事情があったため、でした。

 断りたくても断れぬ、
 その事情とは……。

「うむむゥ!」
「ぐるるるる!」(←訳:言えないよ!)

 ネタバレに直結してしまうので、
 これ以上は記せませんが、
 4つの作品に登場するのは、

 小説家の小林多喜二さん、
 反戦川柳作家の鶴彬(つる。あきら)さん、
 編集者の和田喜太郎(わだ・きたろう)さん、
 哲学者の三木清(みき・きよし)さん。

 上記の4人には、
 共通点があります。

 軍や警察から監視されている、
 という共通点が。

「ぎんこういんさんがッ?」
「がるるるるる?」(←訳:哲学者さんが?)

 ただの銀行員ではなかった。
 ただの川柳作家でも、
 ただの編集者でも、
 ただの哲学者でもなかった。

 時代に呑み込まれようとしている、
 無残にも滅せられようとしている彼らの、
 しかし、
 決して無にはされない、
 『敗れざる者たち(アンブレイカブル)』の
 深い痕跡。

「いまこそォ、よむべきィ?」
「ぐるがるるる!」(←訳:断然読むべき!)

 《ジョーカー・ゲーム》ファンの方々はもちろん、
 近代史好きな活字マニアさんにも
 激おすすめの一冊です。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする