「こんにちわッ、テディちゃでス!
おォ~! みィ~つけたァのでス!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!抜け殻だよ!)
こんにちは、ネーさです。
新しい蝉の抜け殻を庭で発見!
なので、2022年は蝉がいないという噂は
やっぱり噂に過ぎなかったんだわ、
これから騒々しくなるのね~と予感しながら、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― おとめ長屋 ――
著者は鷹井伶(たかい・れい)さん、
2022年4月に発行されました。
『女やもめに花が咲く』と副題が付されています。
《おとめ長屋》……といっても、
えーとですね、
《おとめ》は《乙女》ではありません。
《おとめ》とは、すなわち
《おトメ》なる人名でございまして。
「ぷふふッ♪」
「ぐるるっ!」
《おとめ長屋》と名乗るからには、
麗しい乙女ばかりが住み暮らす長屋であろうかと
想像した方々もおられましょうが、
まあ、ほんのちょっぴりなら、
当たっていなくもないんです。なぜなら。
住人さんは、みな女性。
「それはァ、かわッてるゥのでスゥ!」
「がるるぐる!」(←訳:珍物件かも!)
物語の主人公、
千春(ちはる)さんは、
このところ不運続きです。
小間物問屋に住み込みで働いていたのですが、
お店が潰れてしまい、
錺(かざり)職人をしているボーイフレンドの家に
転がり込んだけれども、
追い出されてしまって。
新しい職場でも上手くゆかず、
もうドン詰まり……。
「あァ~…それはァ、つらいィよねェ~…」
「ぐるるるる……」(←訳:涙ぽろぽろ……)
江戸の町はこんなに広いのに、
どこにも行くところ、
住むところがない――
涙で顔をぐしゃぐしゃにしている千春さんに
声を掛けてくれたのは、
お涼(りょう)という女性。
美人のお涼さんは、
腹ペコの千春さんにお蕎麦を御馳走し、
教えてくれたのです。
《おとめ長屋》の存在を。
住民は女性限定。
だから、あんたみたいに
男運の悪い人間には
向いているかもしれないよ?
これに、千春さんは頷きます。
《おとめ長屋》……良さそうじゃないの!
「そうとォ、決まればァ~」
「がるぐるる!」(←訳:いざ引越し!)
女性ばかりが住む長屋……
いえ、正確を期すなら、
“ワケあり?“な女性ばかりが住む
《おとめ長屋》。
主役は千春さん、ではありますが、
人々が行き交う江戸の町が主役でもあるような
ユニークな物語です。
昔むかしの町々の息遣いを想い浮かべつつ、
ぜひ、一読してみてくださいね~♫