台湾のTSMCと中国SMICの違いが良く解りませんでした。どちらも胡散臭い企業に思えて仕方ない。
どちらにしても、日本の半導体産業を叩き潰したことは間違いなさそうです。
宮崎さんが取り上げてくれています。日本企業がもう一度半導体で世界制覇する日がくることを願います。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和五年(2023)9月5日(火曜日)弐 通巻第7898号
台湾TSMCと中国SMICの半導体戦争
アイロニーに満ちた台湾人エンジニアの集団渡り鳥物語
台湾と中国に跨がって半導体生産の現場経験の豊かな台湾人が興味深い発言をしている。
張忠謀(モリス・チャン)から技術力を見込まれて、TSMCの共同CEOとなっていた蒋尚義が、(その後、紆余曲折があって彼は中国のSMIC副会長に なった)、その経験をもとに中国の半導体産業が「成功しない理由」は米国の禁輸、規制圧力より、「人材」が最大の障害だと語った。
蒋尚義は台湾大學からプリンストン、スタンフォードで博士号、TI(テキサス・インスツルメント)とHP(ヒューレットパッカード)の研究開発で辣腕を発揮し、TSMCに呼ばれた。
蒋尚義は2013年にTSMCを退職し、中国へ渡って鳴り物入りで騒がれていたSMICで働いた。
台湾半導体のトップクラスが、中国半導体の中枢企業へ移籍したわけだから、台湾で大騒ぎとなった。「叛将」(裏切り者)呼ばわりされた。
彼のコネでオランドのASMLから最新の半導体製造放置を獲得できるとした矢先、米国のブラックリストにのって破談となった。さらにSMICの内部抗争に巻き込まれ、武漢弘芯に移籍したが、この企業は半導体助成金を狙った詐欺まがいだった。
蒋尚義は、「中国企業は研究開発の技術的側面を解決できるかもしれないが、最大のハードルは人材だ」と結語した。
つまり技術開発を優先するより金儲けと出世が、かれらの生き方で、そうなると半導体開発はうまく行かないというわけだろう。
「SMIC の本社は上海にありますが、工場は北京にあります。当時の SMIC 会長周子学 から、高官が工場訪問を希望したため北京に飛ぶように頼まれた。ところが、中華人民共和国国民のみが出席できるという理由で会議から 2 度締め出された」(台北タイムズ、9月5日)。
「中国の半導体産業が自立できるか、どうかは分からないが、10年以上にわたってこの産業を発展させてきており、米国の制裁は実際にはごく最近のことでし かない」とする蒋は、2019年に武漢弘信半導体(武漢弘芯)のCEOとなったものの、詐欺に引っかかったらしく、翌年に退社、また2020年12月に SMICに戻り副会長に就任した。そこでまた一悶着あって、一年後に中国を去った。
「中国では二度と働かない」と語った。
台湾で待っていたのは郭台銘の鵬海精密工業だった。同社は半導体事業に進出。2022年に台湾の半導体メーカー、マクロニクス・インターナショナル(旺宏電子)から工場を買収した。蒋尚義は、この鴻海精密工業の半導体部門である「訊芯科技」のCEOとなった。
▼もうひとりの台湾人「叛将」がいる。
張汝京のことを、中国では「半導体の父」を賞賛したこともあった。
かれは台湾大學からNY州立大学をへて、TIで二十年間働き、台湾へ戻って、TSMC、連合電子につぐ三位のファンドリー「世大」を設立した。ファンドリーは顧客の要請で特殊SPECのものを製造するので、つねに顧客との共同作業が必要である。
世大は顧客との関係が良好に進まず、やがてTSMCに買収された。このため、張汝京は数百人の台湾人エンジニアを引き連れて上海へ渡る。まさに「渡り鳥」の集団。台湾で大騒ぎとなった。「叛将」とはかれのことである。
中国政府のテコ入れでSMICが設立され、14ナノ半導体製造に成功したという未確認情報も流れた。宣伝の為のフェイク情報だったかもしれない。
しかしTSMCから特許裁判を起こされ、その後は半導体補助金を狙った詐欺に引っかかったりしてさんざん。張忠謀に言わしめると「張汝京は工場建設の名人だが、企業経営は無理」という。
台湾と中国の半導体企業の裏話である。
アメリカの仕掛けで日本の半導体産業が今の体たらくになってしまったことを考えると、やはり日本の政府の情けなさを思わずにはいられません。
やはり、正しい国家観と歴史観を持たない奴等に日本を任せるとこんなことになるのも仕方ないのかも。
やはり、日本人の目覚めが急がれます。