今回のChinaの失脚問題は今までとパターンが違うそうです。宮崎さんが取り上げてくれています。
これは習皇帝にとってどう影響するのか。いよいよ終わりが見えてきたのか。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和五年(2023)9月19日(火曜日) 通巻第7916号 <前日発行>
従来型の失脚、解任劇とパターンが異なる中国要人たちの『行方不明』
権力が固まり周囲が茶坊主だけになると陰湿な内ゲバ、讒言、陰謀が渦巻く
失脚や解任理由によく使われるタームは「重大な規律違反」である。
第一は汚職、第二は機密漏洩、第三に路線対立による敵の排除。汚職は誰もがやっていることなので、よほどのヘマをしでかして周囲の嫉妬、恨みを買うか、 「相場以上」の金銭物品あるいは手の届かない美女の要求など、しかし、これらの醜聞は日常茶飯で驚くに値しない。女性問題で政治家が失脚するのは日本くら いだ。
次の数字をご覧いただきたい。これは「規律違反」で裁かれた人の数である。
2020年度 604000人
21 627000人
22年上半期 273000人(22年下半期は数字公表がない)
習近平が権力を掌握してから最初の政敵排除は、「汚職」を盾として江沢民派の大物排除が主眼だった。王岐山が大活躍した。
最大のライバルは薄煕来(重慶市書記)だったが、たたまたま夫人の英国人殺害が浮上し、監獄へ送った。当時、習は軍を抑えていなかったので、江沢民派の 重鎮ふたりと公安系の周永康を失脚させ、江沢民派の脅威が稀釈化すると、つぎに胡錦濤派に標的を搾り、令計画らを失脚させた。令の実弟、令完成は機密書類 をもって米国へ亡命した。
習近平二期目には軍の中堅クラス、とくに参謀総長だった張又侠らを追い込み、またインタポール総裁だった孟宏偉(元公安副部長)らを拘束した。これらに よって習は自分にまつろわぬ他派閥の要人たちを一斉したのである。以後、習は嘗ての赴任地だった福建省、江蘇省、上海時代の部下だった人間と夫人の取り巻 き集団以外の人間に愛着がない。
李尚福国防相の場合は西昌衛星発射センター長から2016年に戦略支援部副司令を経て、2017年に装備開発部長になった。はここは元の総合装備部である。兵器調達から軍服、軍靴まで、一番リベート収入が多い部署である。
三期目の政敵排除が従来のパターンと異なるのは、失脚対象が敵対派閥ではなく、権力のミウチの内ゲバに移行していることだ。
習自らが抜擢した秦剛外相、李尚福国防相、ロケット軍司令、政治委員らが行方不明となった。統一戦線工作部副部長で宗教局長だった崔毛胡ら十四人は九月四日に拘束された。
アリババと親しかった習江勇元広州市書記も汚職の容疑で失脚。パターンが異なるのは習近平政権内の陰謀、讒言などにより、派閥とは無縁だが、習の茶坊主軍団の人脈にはなじめないか幹部らに集中している特徴がある。
これは、習皇帝の最後の足掻きなのでしょうか。そうであり、習皇帝の終わりとなることを期待します。
いよいよ習皇帝のChinaの幕引きの完成となることを期待します。