食料や制作材料の購入以外ほとんど家を出ない。個展が近いせいもあるが、おおよそこんな感じである。引っ越し以来、三食ほぼ自炊だが、生野菜はキャベツを刻んだもの以外は自分で用意したものは昔から食べる気になれないが、ここぞとばかりに野菜炒めなど野菜をゴリゴリいわせて食べている。店ではそんな野菜炒めは食べられない。 太宰にはマフラーを巻いている。これには実利的理由もある。着物で胸元などはだけていると、首を動かす訳にはいかないが、マフラーを巻いておけば、首の差し込み部分が隠れる。今後、太宰には微妙な角度で微妙な表情を醸してもらわないとならない。 それにしてもあれだけ嫌った太宰だが、久しぶりに部屋に置いておきたい気もする。なんていいながら、そんなことはしたことがない。古今亭志ん生は志ん生聴きながら一杯やって眺めよう、と考えていたが、結局は他人のように見えて、私ゆえんの、私の成分で出来ているのであるから、そんな気にはならないのであった。 森鴎外を作った時、作ったところで文豪調にしかやりようがなかろう、みたいな顔だし、有名な脚気論争のこともあり、陸軍軍医総監の、派手な礼装をさせれば面白いかと思ったが、軍服特に礼服となれば、結局はエライ人になってしまった。あの顔に羽飾りのついた礼帽を被せれば多少面白がれたかもしれないが、せっかく作った頭の形が隠れるのが忍びなく、手に持たせてしまった。 ところで太宰は、女を横に、だらしなく酔っ払わせようなんて企んでいたこともあったが、どうも酒はそれほどのエピソードもなく、むしろ意地汚いのはその食いっぷりだったようで、あまり面白くない。結局隣の部屋のちゃぶ台の上に立っている太宰治は、なんだかスッとして薄ら格好良いじゃぁねぇか、となんだか鴎外に続き、やられてしまった感が残る結果となった。
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