すでに元寇を作るために資料を集めつつある私だが、例によって魚がいない所に釣り糸を垂れる可能性がある。我慢の限界が来れば構わず始めてしまうのは判っているが、まだ余裕はある。被写体を作ること自体に時間がかかるので、剣を抜いたモンゴル兵など作って、使いようがなければ話にならない。まずは英一蝶の、濡れないように背中の火焔をかたわらに置き、滝に打たれる不動明王、寒山と拾得の日常、朱鞘の大太刀を持ち街角に立つ一休宗純。これらを並行して始めたい。 火焔を下ろした不動明王は、そのユーモアは一蝶の物だが、濡れた衣が不動明王の身体に張り付いたところが私の作り所だろう。 鉄人ルー・テーズの連勝を936でストップさせたフットボール出身のレスラー、レオ・ノメリーニが力道山にタックルをかわされリング下に落ちて負ける。力道山が「あの野郎、落ちていきながら俺の腹を蹴って行きやがった。」子供心にノメリーニの執念に感銘を受けた。私も英一蝶にそう言わしめ〝恩返し”したいところである。
39年ぶりに観た作品。個展2回目にして楽器を作るのに嫌気が差し、ケースに入れて持たせることを思い付いた。