明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

検診  


個展にかこつけサボっていた検診に行く。待合室にいると聞こえてきた先生の声が、「いつ死んでもおかしくありませんよ」。と以前私にいった先生の声でなくてちょっとホッとする。どんな医師だろうと職員室に呼び出された小学生のようになってしまい、情けないことはなはだしい。ここは女医先生ばかりで男の悲哀など解さず、容赦ないという思い込みがあるのでなおさらである。私はどちらかというと嘘はつけないほうである。当ブログでも都合の悪いことは書かないかわりに嘘も書かない。ここでもどうせ嘘をいっても数値にあらわれるだろうから無駄であろうけれども、コンピューターを前にした先生の前ではまさに職員室の生徒で、どうしても多少工夫したセリフが口をつく。幸い悪くなってはいたけれど、危惧していたほどではなく、約束を守って次回はちゃんと来るようにいわれたに留まった。採血の際のナースの質問にも工夫を加えていたので、まずは腹ごしらえ。 HPの新たな制作は、まったく思うようにならないでいたが、やはり私が理解していないことが原因であり、いくらか先が見えてきた。それにしても昔は画像はとにかく軽く、といわれていたものだから、こんな高画質なものを使って良いのか、と思うのだが、何度マニュアルを見てもどうということはないらしい。ただ私はいまだにガラケーであり、パソコンのモニターとは見え方が違うだろうが確認できない。もっとも画像が並べられればそれで良いし、どう観られようと見る人に任せたいのでいい加減、これはこうしてこうなりました的なことは最小限にしたい。マジックショーなど観たら、騙されたまま家に帰るべきであろう。私の従兄弟に300年続く寺の住職で、イリュージョンショーなどやるプロがいるが、親戚のよしみで、とタネを聞いても絶対口を割らない。業界の掟もあろうが、夢を売る人間とはそうしたものであろう。

鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
TEL 03-3400-2214

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載8回『昭和残侠伝“唐獅子牡丹”三島由紀夫』

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtub

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HP  


出来る人間というのは、出来なかった頃のことを忘れてしまうものである。どこが簡単なんだよ、とトップページを作った時点でどうすることもできない。今は判らない事あれば自分で検索して調べろということらしいが、これは親切で判りやすいとユーチューブを観ていたら、ちょっと時間が経つともう操作画面が変更になってしまっている。この役立たず!昔は腹を立てて隣の部屋の壁に全力投球する分厚いマニュアル本があっただけマシであった。それでも、できるようになってみると、結局私が悪かった、という経験があるし投げつけるマニュアル本もないしで、ときおりユーチューブで大谷など観ては腹立ちを紛らわしている。 1999年に初めてインターネットなるものを見た。一人一日で何人かの個展を連続で、という試みで、ネットで会場の様子を配信するというので会場の片隅にパソコンが置かれていた。実はオイルプリントの初披露はこの時であり、そのモニターを見てオイルプリントの技法公開、と作品の紹介には良い、と思って翌年、マニュアル本を壁に全力投球することになったわけだが、おかげでフォトショップを使うようになり、それまで画面の最前に配されているから人間が人間大に見えているだけで、物の向こう側に人物を持って行こうとすればフォトショップを用いるほかはない。カメラにしてもそうだが、結局嫌いだった物に限って重要な手段になってきたから思えば不思議なものである。後は饅頭が嫌いとでもいって終わることにする。

鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
TEL 03-3400-2214

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載8回『昭和残侠伝“唐獅子牡丹”三島由紀夫』

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一日  


2000年にそれまでワープロさえ触ったことがなかった私がホームページビルダーをつかってHPを立ち上げたが、今見ると画像は軽過ぎるし、今はスマホばかりでパソコンで見る人などいない、といわれるし、3年以上更新していないので、これはこれで新たに作ろうか、と考えている。今は簡単に作れるというが、デジタル物は、とっかかりのハードルが高い。とにかく画像を貼付けていければ良いだろう。 キーボードを買いに行く。帰りに通りの向こうで自転車に乗る老人が曲がって来た車と接触。車から出て来たのは両腕に杖の男であった。老人は何か文句をいっていたが、その内横たわった。たいしたことはなさそうではあるが。スマホ片手の連中が集まって来る。私の前方にいた青年もスマホ片手に通りの向こうへ。野次馬か、と思ったらその青年、加害者の車をさっさと開けて、なんというのか赤い三角を道路に置き、鞄を老人に枕のようにあてがい、警察に連絡するは、救助の到着にそなえて何か振り続けるは、テキパキと実に手際が良く感心。ただ深川だというのに救急車の到着が遅い。パトカーも私が見ている間には到着せず。 キーボードにこぼしたり体内の消毒、などと軽口を叩いていると、まさかと思ったが、消毒用アルコールを飲んでいる、と思っている人がいてビックリしたことがある。そんな物を飲用に用いるなどという馬鹿なことは19歳の時に2回だけ、と明言しておきたい。しかも買いに行く前に、先日青木画廊最終日に来てくれた金属工芸科のKに、「エ◯◯とメ◯◯どっちだっけ?」と確認する慎重さが私にはある。

鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
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形の違いはどうあれ、一年の間に個展を二回するというのは初めてである。初期作家シリーズを中心にモノクローム30点、江戸川乱歩がカラーで10点の計40点の予定である。 チラシ用に、各作家の代表作を書き出す。作家シリーズは最初に、屋根裏で尻っぱしょりした乱歩がこちらを見ている場面が浮かんだが、作品になったのは何年も後のことであったが、呆れるほど頭に浮かんだそのままであった。今だったらデジタルで簡単であろう節穴から漏れる明かりも(チンダル現象といったか)タバコの煙を吹きかけてはシャッターを切った。このあたりからであったろう。撮影現場の様相の馬鹿馬鹿しさに拍車がかかっていった。本日のブログが短か目なのは、またキーボードにある種の液体をこぼしてしまったからで、ガラケーからメールして、と面倒なのであった。


鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
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本日は寝たり起きたりの繰り返しであった。人見知りの人間が、自分のナマな企みを前に2週間過ごすというのは過酷なものである。リハビリには1週間程度のアルコール消毒が必要になるだろう。 人形2体は最終日に持ち帰ったが、プリントの撤収は明日になる。ついでに7月終わりから8月一杯、9月最初までという今まで最長の写真展が同じく銀座であるので、そちらの打ち合わせをしにいくつもりでいる。合成などする前のモノクロームの作家シリーズが主になるだろう。コダックのエクタルアという印画紙が発売中止になってモノクロは止めたが、現在ビリケン商会の『鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界』で稲垣足穂1点を試みに出品しているが。手漉き和紙にプリントしているにもかかわらず、エクタルアの色調がほのかに再現されている。 モノクロームは色がないことにより主題が強調されるという。しかしもし写真が発明された時、すでに天然色であったらそこからモノクロームを試みる人はそれほど多くはなかったろう。水墨画家を別にすれば、絵画ではごく少ないことでも想像できる。あらかじめ色彩があるから色を省くなんて大胆なことが出来る訳で、仮に写真というジャンルが私のように、写真家自らが、まず被写体に着彩してから撮影しなければならないようなものであったなら、わざわざモノクロームで撮る人はいないだろう。それは自ら作った陰影を消すことも同じことであり、苦渋の決断の上で試みられるものであろう。

鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
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私の作品が絵のように見える理由は色々あるだろうが、観る側の、写真は外側にレンズを向けるものという常識、思い込みもあるだろう。なんて分析は観た方にお願いしたいところであるが。聞かれるから考えるが、本来行き当たりばったりでたいして考えていない。昨年4月ごろ、円朝像を制作した頃のブログを読むと、円朝像から陰影をなくして作ったものの、完成作を前に意味が良く判らず、いずれ理解した暁には、最初から計画的にこうするつもりだったみたいな顔をしようなんて書いている。なんだか判らないが作ったらこうなった、では馬鹿みたいだからで、おかげで今はそんな顔して今頃ああだこうだいっている。 私の腹の中には表層の脳より多少物の判っている私がいて、頭で判っていなくてもやらずにおられなかったらまずそれに従う。性能に問題がある頭で後付けで分析するのはその後である。オイルプリント初披露の時と違って、今回は陰影を出さずに撮影して、切り抜いて貼り付けただけ、で済むつもりであったが、効きが良すぎたか、結局ああだこうだ、野暮を承知で解説することになった。 それはともかく。私の場合、白紙の原稿用紙を前に何を書こうか、と悩む事はなく、常に何かしらある。問題なのは暴走を防ぐ事である。ただそれも見極めが肝心で、タコに絡まれた葛飾北斎など、手を出してはいけない、と思いながら作ってしまったが、できてみれば、こんな私らしい作品はなく、代表作といっていいくらいである。よってDMにはこれしかない、と使用したが、そのせいかどうか、今まで出品し、いつも来てくれていたような文学館の学芸員など一人も来なかった。

鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
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視覚から入る情報は強固であり、多少の文章で説明したくらいでは覆えされない。DMに写真だと書いても見る側の写真のイメージに当てはまらなければ効果はない。それはオイルプリントを初披露した時にすでに経験済みであった。幸いデジタルの反作用で古典技法を手掛ける人口が増え、オイルに関しては昔のようなことはないが、なんと時間のかかったことか。会場でも質問を受ければ何でも答えてきたし、これからもバスガイドよろしくそうするつもりではあるが、オイルの時のように技法公開のためHPを立ち上げたりなどという根気も時間もないし、理解してもらえるまで足踏みして待っている時間はない。大谷も自動車の免許を取る時間があるなら野球の練習をしたいといっている。 前言ひるがえしの常習者である私であるから、今日の私はこう思った。ということで。 作家シリーズ、その大半は中学高校時代の読書体験による。あと30パーセントはそれ以降20代前半の物であり、作りたい人物がいなくなるのも当然であろう。乱歩とともに中学生で熱中した谷崎は、ここにきて手掛けるとしたら『鍵』である。というのも婦人役にどうか、という女性に先日会った。それと同時に私が初個展より続けた架空の黒人シリーズの頭部の制作を開始するか、である。それで個展をとのギャラリーからの要望であるが、前しか向いてない私からすると、踏ん切りが着かないでいる。今時そんな物作って良いのか? 工芸学校時代の友人が40年ぶりに顔を合わせてその容貌の変化にお互いが気が付かないのを見た個展最終日にて。御来廊頂いた皆様に感謝いたします。

鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
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昨日に引き続き岩崎宏美さんに来ていただいた。昨日電話に出なかった母に朝予告していたのでようやく電話で話していただいた。思えばまだ仕事をしていたころ新聞広告を見て電話してコンサートにでかけていた。ぼんやりとしか見えていなかったろうが。母は電話の向こうで泣いていたそうである。宏美さんにはそのうち母の所へ行っていいですか、といっていただいたが「お願いします」といえる訳はない。プロレスしか共通話題がなかった父が亡くなる前、ここにアントニオ猪木が見舞いに来たらどうなるかな、と妄想したこと思い出した。泉鏡花の前で記念撮影の宏美さん。たまたま青木さんの知り合いで徳島の方が見えたのだが、今使用している阿波の手漉き和紙の社長を良く知っていると電話、何故か社長と話している私。 描いたみたいといわれるのはしかたがない。しでかした私でさえそう見えるのであるから。かつて実在した人物を描く場合、リアルに描く必要のある人であればあるほど、既存の他人が撮影した写真をコピーすることになる。それが彼独特の画法であるにせよである。立体の場合、一度作ってしまえばどこからどういう角度で取ろうと自由自在である。私が人形制作と撮影の2刀流?であることのメリットはここにある。誰も知らない角度を選ぶことが多いことに気付かれる方は少ない。文学研究者であっても対象の御面相については詳しい必要はないからである。ようやく来てくれた初期オイルプリントから観てもらっていたPGIの西丸さんが笑顔で帰られた。それは私にとれば上手くいったということである。明日最終25日は5時終了である。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
TEL 03-3400-2214

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先日会場ではお会い出来なかった飯沢耕太郎さんから過分なメールを頂戴した。オイルプリントの習得に孤軍奮闘していた頃、当時入手出来るのは明治、あるいは大正から昭和の初め頃の文献だけであったから飯沢さんの『芸術写真とその時代』は、子供に怪獣図鑑与えたかのように読んだ。ピクトリアリズム展と称した以上、観ていただかない訳にはいかなかった。 出がけに母のいるホームと連絡を取っていて画廊に出かけるのが遅れると、岩崎宏美さんが一人で。私が来ていないので用事を済ませ再び来ていただいたという。二人だけで30分以上は話せただろう。宏美さんは話す声と歌う声が同じだといつも思う。何度も個展を重ねて来たが、こういってはなんだが、客がいないことを嬉しく思ったのは始めてである。 『中央公論Adagio』の旧編集長とデザイナー氏。昔クレイジーキャッツのハナ肇が亡くなった時、植木等の弔辞を聞いて、チームで仕事をすることのない私はちょっと羨ましかった。交通局発行の隔月のフリーペーパーであったが、創刊当時、駅で捨てられず、家に持って帰ってもらえる物を目指そう、と話し合ったものである。宏美さんとの話は超常現象にまで及んだ。 昔から観ていただいているライターの納富廉邦さん。なんの補足説明もなく話せる快感味わう、見上手というのかさすがである。 地元に帰り飲む。エピソード豊富なIさんと愉快な話に終始し、帰りにコンビニに寄ると宏美さんから嬉しい電話。コンサートで感激のあまり終いには手を合わせて拝んでしまった母に報告する。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
TEL 03-3400-2214

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無酸素でエベレストに挑戦した登山家が亡くなった。私は子供の頃、登山家は何かの調査をしていると思っていた。危険を顧みず偉い人達だ、と。それがただ登っているだけと知り、私が高所を好まないこともあり、以来、何故連中が変態扱いされないのか不思議である。親不孝といっても、人形作って死んだ人は聞いたことがない。それはともかく。 明日は会場で北斎を撮ってみよう。今回の個展では、北斎は『蛸と画狂人葛飾北斎』と『赤富士』の2点しか考えていなかった。北斎は部屋が散らかると片付けることなく転居した。こんな人物を制作するのに、私程適任な人間はいないだろう。理由は書かないでおく。私が制作した北斎は、床屋でも行ったように髪や髭は綺麗にサッパリしている。散らかった画室で不精髭を生やし、制作に没頭する北斎。昼であったら窓から遠くの富士山が見えるのも良いだろう。行灯の妖しい光の元、モデルを前に春画用スケッチに没頭する北斎。陰影を排除して制作していると、反動でそんな光で制作したくなるのは会場にお出での方にはお判りいただけるだろう。思いっきり妖しい北斎を制作するのに、私程適任な人間はいないだろう。書きたいが理由は書かないでおく。 制作時間の残りを考えると、これからは思い付いた物をいちいち作っている訳にはいかない。何を作らないか、がより肝腎になっていくだろう。そもそも北斎だって作る予定でなかったのに、蛸に絡まれる北斎を思い付いて手を出してしまった。しかしやってはいけない、という心持ちが制作に拍車をかける場合があるから気をつけないとならない。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

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場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
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タイトル付けるのが苦手で、付けないことがよくあるのだが、今回はそれしかいいようがない作品ばかりである。青木画廊の告知ページが、なんと『円谷な女』になっていた。そいういえばそうする、と伺った気がする。 眺めていたら、どうせならおんなではなく、ムード歌謡のタイトルのように円谷なひと、と読んでもらうほうが良いような気がして来たのでふりがなを入れてもらうようお願いした。 横には大蛸が勝どき橋に絡み、メーサー砲はその目に照準を合わせ、航空自衛隊が女にまさに攻撃を加えん、としている時、これから風呂にでも入るかのように髪をまとめ平然としている女。その巨大なうなじには、円谷なひと、が相応しい。 夕方多摩美の中村隆夫先生みえる。2000年のオイルプリントの初個展ピクトリアリズムⅠ(正確に言えば初披露は1999年一日限定の展示をした)古典技法写真などやっている人も見当たらない時に助教授時代、始めて展評を書いていただいた。この時は来廊者だけでなく、画廊主にまで最終日まで解らない解らないいわれて腐ったものである。そう思うと今回は青木さんに、モニターで見るのと違っていた、といっていただいている。 絵の具を使用するオイルプリントやブロムオイルなどの、いわゆるピグメント印画法の欠点は印刷による再現性が低く、伝搬力に欠ける、といったのは細江英公だが、今回の私の作品も、モニターで見てこういう物だ、と思っているのと実物は相当違う物だと考えていただきたい。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

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場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
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連日5月とは思えない暑さである。せっかくの機会なので、できるだけ3時過ぎには会場に出かけている。先日プッと吹いた方がいたので見ると『猛虎図』のキャプション、かつての虎を見たことがなかった日本人が描いた虎の味を出すため、猫を撮影して虎に変えた。であった『そこですか?』。 以前、ご近所の谷雄治さんに試しに1メートル以上に引き延ばしてもらった『蛸と画狂人葛飾北斎』を会場に持って行った。感心されるくらいなら呆れられたい願望の強い私にはうってつけの試みではあるが、披露のタイミングがない。 私の作る人物像は、私にとって必要なこと以外はしないので、粘土感丸出しである。神は細部に宿るといわれるが、肝腎なところに宿ってさえいれば良い。以前サンディエゴ写真美術館MOPA(Museum of Photographic Art)の館長デボラ・クラチコさんにあなたの作品は写真作品というより現代美術として拡大した方が良い、といわれた。そんな機会はないし、細部に神が宿っていないことがバレてしまうではないか。そう思ったが、深川江戸資料館の『深川の人形作家 石塚公昭の世界』の会場が広かったので2メートルに引き延ばしてみたら、むしろリアルに見え、私はこんな物を作っていたのだな、とひとりごちた。人形というものは人間のサイズを超えてはならない、と考えているが、写真作品としては、人間大、またはそれ以上に拡大すると、私の最も大事にする佇まい感がさらに拡大、強調されるという意外な結果を得た。いつか巨大プリントだけの展示の機会はあるのか?


銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
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私がそもそもモノクロ写真を止めたのは、コダックのエクタルアという印画紙が製造中止になったからである。いくらかグリーンがかったような色が素晴らしかった。しかし逆にいえば、製品に依存しなければならない写真というジャンルに改めてがっかりした。そして、印画紙だフィルムだと、写真用品が製造中止になろうと薬種問屋さえあれば継続可能な古典技法オイルプリントにさらに傾倒していった。 今回出品のタルホは、残されたプリントをカラーで複写したデータを使用することにより、あの失われた雰囲気を出し、さらに手漉き和紙を使用することで、ただの再現にはなっていないと思う。タルホは空中に浮いているが、背景から伸びた金属棒をそのままタルホの背中に穴を開けてぶら下がっている。これは人形制作と撮影の二刀流?の私だからできる芸当である。これは私のHPから持って来た物だが、どういう訳か下が変な所でカットされている。実際は三角錐も全部入っている。


鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
TEL 03-3400-2214

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

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アマゾンの創業者が“新しいことを始めるには誤解を恐れてはいけない”そんなことは当たり前な話である。人は既存の物との比較で認識して行こうとするものである。私の場合は写真ではなく絵だと思われている。だからこそピクトリアリズム(絵画主義)なのだが、かつてのピクトリアリズム全盛時代でも、ピクトリアリズムは比喩的な話であって実際は絵と間違えるような作品を制作していた作家には覚えがない。モノクロームだったからであろう。 最初にジャズシリーズで写真を発表した際に、メンズ◯ラブの編集者が人間の実写と間違えた時、ジャズ写真の模倣など、わざわざ人形作って誰がやるか、と翌年作家シリーズに転向したきっかけになった。その時はいったい何処を見ているんだ、と思ったが、今回の件に関しては作っている私が絵に見えてしまう。ついに私自身をも騙そうという所まで来た。
明日19日より6月3日まで 南青山ビリケンギャラリーにて『鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界』に1点出品する。前述の理由から、作り物でしか出来ない作品を、と制作していた。タルホは空中に浮いているが、まだパソコンのパの字もない頃の作品である。今日の段階では手漉き和紙にぞっこんである。光は作中にあれば良いので印画紙表面に艶は不要である。モノクロームは初の試み。 青木俊直、石塚公昭、オカムラノリコ、かなまち京成、コマツシンヤ、近藤ようこ、高橋キンタロー、田中六大、永野のりこ、鳩山郁子、花輪和一、ヒロタサトミ、巻田はるか、南伸坊、森環、森雅之、森泉岳土、山田勇男、ユズキカズ、吉田稔美、吉田光彦、わだちず

『サンカクとマルのある風景』


銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

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2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

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一日  


本日も蒸し暑い。3時を過ぎて青木画廊に行くと芳名帳に澁澤龍子さんのお名前が。お会い出来ずに残念。 工芸学校を出て岐阜の山の製陶工場に就職した。陶芸作家になるべく、すぐに修行を開始したいところであったが、3年前に亡くなってしまったが、トラックの運転手をして金を貯めて同級生になった6つも歳上の苦労人など見ていると、好きなことにしか興味がない私など社会に出てとても使い物にならない。そこで1年、ロクロもない製陶工場で性根を叩き直そう、と殊勝な考えで就職をしたのであったが、そこへ年上の娘が夏休みに遊びに来た。読めと差し出したのが桃源社の澁澤龍彦集成のうち『エロテイシズム』であった。手製の紙のカバーがされたそれは、万引きしたものだ、と余計なことをいっていたが、私はそれまでこんなことを書く人がいるとは知らなかった。今思うと、どこをどう解釈したのかよく解らないのだが、似合わないことをしているんじゃない、といわれている気がして、殊勝な志は元の木阿弥となってしまった。その後もう一年茨城の山奥で陶芸に関わったが、すでに壷や茶碗を作る気は失せていた。 その後人形制作を始めたことと澁澤は無関係であったが、悪戯電話でもして声だけでも聴きたいなどと思ったが、作っている物が黒人のミュージシャンではどう考えても接点はない。亡くなった時は30分ぐらい呆然とした。それがあろうことか、作った澁澤像を澁澤邸で撮影させていただくことになるとは思わなかった。これは拙著の表紙に使った作品。


銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載8回『昭和残侠伝“唐獅子牡丹”三島由紀夫』

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

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