明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



植木等が亡くなり、保存用スポーツ新聞を買う。ジャイアント馬場以来である。たまにTVで見かけると、あまり元気そうではなかった。笑いながら歌うという画期的な唱法が懐かしい。 ハナ肇が亡くなったとき、植木等の弔辞を聞いて、チームで仕事をする人が羨ましくなったものである。私の数少ない“チームプレイ”の機会は出版であろう。完成に近づいてくると、終わらすのが惜しくなり、ぐずぐずしていて、デザイナーに尻を叩かれたりしていた。 サイトを通じて注文いただいた分は自分で発送しているが、一度封をして、プリントを入れ忘れたような気がして、また開けたり、為書きを失敗したり、なかなか作業が進まない。乱歩の本も、手元にある分はついでに載せることにする。 今年は是非、花見を連発したいものである。

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一日  


下に住む映像プロデューサーのYさんから今日はK本に顔を出すかと電話。『黒澤明VSハリウッド』(文藝春秋)を貸してくれるという。途中で頓挫した『トラ トラ トラ』の謎について書いてあるらしい。私は昔近所にあった二笑亭の本を貸してある。一風呂浴びてから行くことにし、風呂から上がると今度はK越屋のオヤジからK本で飲んでると電話。行ってみると孫を連れて奥さんと並んで良い調子になっていた。前回は、店の前を行ったりきたりし、私がいるのを見つけて入ってきた。近所だと言うのに40年ぶりだといっていたが、今日は店を休んで温泉旅行の帰りとかで、すでにメートルは上がっている。K本の女将さんが、昔いかにいい女だったかを盛んに。 今度の新刊では、K本で撮影した荷風の作品や、今日も目の前にいる猫が登場するので、見本を早々に届けていたのだが、先日歌手の岩崎宏美がK本に来て、買うと言ってくれたそうである。なかなか趣味が良い。明日27日発売ということだが、著者の元に届くのも27日らしい。ここの常連客も買うと言ってくれるが、常連は、奥の壁とカウンターの間に、はさまるように並んでいるわけで、誰かが買うと言ったら、俺も私もと言わざるをえないようになっている。

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深川江戸下町資料館通りにある『深川いっぷく』へ歩いていく。想像以上に通りの奥にあり、4時を少々過ぎる。最初にウクレレブラザースのライヴ。空いているのは最前の席だったが、一曲だけ聞いて、後ろにさがる。もちろん大きなのが前にいたら迷惑だと思ったわけだが、それ以外に理由がある。(新刊『Objectglass12』の寺山修司の頁を参照のこと)笑わせるトークを挟んだライヴも盛り上がり、桜餅と昆布茶をいただいたあと、彷書月刊の皆川さんと南陀楼綾繁さんのトーク。出版と言っても様々な形があるものだと、最近なんとなく解ってきたが、笑いを交え彷書月刊の歴史をふりかえる。短い時間にかかわらず、雰囲気は伝わる。 南陀楼さんには、出来たての拙著『Objectglass12』見本でもらった5冊のうちの1冊を進呈。これには作家シリーズ12人を載せているが、12人とは別に、番外として宮武外骨を載せた。これは『本とコンピューター』編集者時代の南陀楼さんに依頼され、早稲田大学の図書館内で撮影したものである。 打ち上げに参加。『貸本小説』の末永昭二さんらと、なんだか愉快な話をして過ごす。 この通りには白昼夢を撮影した洋品店がある。もちろん100を越す合成で、一見では判らないであろう。久しぶりに覗きたいと思ったが、近所の古いアパートに住む人の案内で、別の道を通ることに、このアパートは明智対二十面相を撮影した場所である。すでに懐かしい。
『Objectglass12』サイン本予約受付開始する。

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そういえばジン・キニスキーがよくやった、膝で腹を蹴るプロレス技をキッチンシンクというが何故だろう?最近、あれだけ好きだったプロレスも興味を失いつつある。身体つきがみんな似ていて、個性も感じられない。 私は特に悪役レスラーが好きであった。むかし、キラー・バディ・オースチンというレスラーがいて、(キラーというくらいで、パイル・ドライバー(脳天杭打ち落とし)で二人殺している)そのせいか、酒びたりになり、息子の事故死や離婚など悲惨な結末であったが、腹も出ていて脚も細く、今では考えられないスタイルだが、これがいかにも酒場の用心棒的なリアル感があった。幼稚園児の頃からプロレス番組に親しんだおかげで、あらゆる人種の、様々な身体つきのポーズが頭に入っていて、じつはそれが造形上のネタ元になっているという、ウソのような私なのだが、今の格闘家のようなビルドアップされた身体は美しくはあるが、だぶついた贅肉にこそ、職業者、生活者としての味わいがあった。悪役は酒びたりで酒場のケンカがトレーニングみたいな雰囲気が好ましく、まじめに腹筋を割っているような男は、悪役にはふさわしくない。

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一日  


流し台の取替え工事。古いマンションゆえ不都合は多い。10時から始まり、12時頃には終わるという話だったが、業者は11時半に食事に行ってしまった。帰ってきたのは2時近く。イタリア人かよと、その低い鼻を眺めると、シンクのサイズが違っていて、取り寄せているという。3時か4時に届くと、済まなそうにしているので、4時までには帰ることにして出かける。浅草橋で買い物などしているうち、時間が来たので帰るが、車が混んでいて、まだかかりそうだという。5時を過ぎ、ちょっとそこの角で飲んでるから、来たら声かけてくださいとK本へ。「え?そこに飲み屋があるんですか」確かに暖簾がなければ民家である。鍵をあずけることも考えたが、そこまでしてやることはないだろう。と6時も過ぎ、下の階に住むYさん「この時間でやるわけないって」戻ると、まだいる。どうしても今日中にやりたいらしい。7時も過ぎ、どうも落ち着かない。明日にしてくれと言いにいこうと立ち上がったところに到着。低い鼻を明日も見ないですんだ。シンク新しくなり気持ちは良い。

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昨日のフリーマガジンの表紙は、使う作品が決まった後に、今の私ならもっと良いものが、と思ってしまったことから始まった。もちろん、こんな物を作ってみました、とついでに送ってみたわけである。その後、いつもの煮込み屋K本に飲みにいってしまった。帰宅後メールを見ると、新たに作った方に決まっていた。作った甲斐があったが、少々御酒が過ぎ、早々に寝てしまう。夜中に目が覚め、それでは高画質データを送ろうというところで、私の“もっともっと”病が出てしまい、さらに朝までかけて作り変える。最初の画像とは、まったく別物になってしまっていた。よけいな事をと思ったが、これは私の病気だからしかたがない。もちろん、こんな物を作ってみましたと参考に送ってみたわけだが、しかしその結果、夜明けに完成した作品が「あまりに良すぎて泣こうかと思いました」と、編集の方から嬉しいメールをいただいた。メデタシメデタシ。

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船越英二が亡くなった。先日、インターネットで久しぶりに『卍』と『十人の黒い女』を観たばかりである。なんともすっとぼけた男を演じていた。大映の増村安造作品の常連だが、この監督は男優に厳しく女優には甘そうだが、女がどんどん強くなっていき、それに反してグズグズになっていく男という映画が多いような気がする。その中で、いい味を見せてくれていた。陰影ある甘さがなんともいえない。 来月創刊されるフリーマガジンの表紙を乱歩でということだが、作品集も完成し、力があまってしょうがない。先方がこの作品でというのに、急遽別な画像を作り、こちらではどうでしょうか、ということで、そちらに決まる。

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深川不動のあげ饅頭を買う。初めてお邪魔した時、相撲見物の後に買って帰ったという話を聞き、以来これを持って伺う。前回伺ったのは何年前だったか。方向音痴としては、パソコンで検索し、プリントアウトした地図を持っていくわけだが、これが間違いのもとであった。いい加減な地図で、そもそも近くのはずの明月院の場所が違う。通りかかった郵便局員におそわり、事なきを得る。 今日は、作品集の表紙に澁澤像を使わせていただいたので、見本を持ってご挨拶に伺ったわけである。出版社の営業をかねた事前のリサーチでは、書店員の、特に女性には澁澤人気がダントツだったらしい。そんなこともあってか、表紙はシブサワとなったわけなのだろう。表紙と同じ写真を額装して持っていったが、赤い薔薇を添えて飾っていただいた。 今年は没後20年ということで、催事、出版が続いているようである。20年といっても、ついこの間のことのよう。最近出た本のリーフレットを見せていただいたが、前面に置かれたパイプの吸い口が180度逆さまについていた。本の中の写真も同様。象徴ともいえるパイプがこれでは台無しである。 龍子さんの背後に見える庭木の上を走り回るリスなど観ながら、生前のエピソードなど伺い2時間ほど過ごす。喜んでいただけたようでホッとして帰途についた。

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本の見本が届いているというので、1時に風涛社に顔を出す。とりあえず拝見。1冊目の『乱歩 夜の夢こそまこと』(パロル舎)は、カラーだったこともあり、今回はモノクロでいきたかった。紙質、インク共にピッタリ。美しい仕上がり。タイトルのオブジェクトグラスとは、対物レンズのことだそうである。私が偏愛する12人の作家ということで。27日には書店にならぶ予定。当サイトからも、サイン入りで購入できるように準備をしている。

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数あるGSの中でもモップスは違っていた。鈴木ヒロミツ死去。 たしか受験をひかえた弟のバンド活動を止めさせるため、練習場所に説得にでかけたのに、結局自分も入って、リーダーになってしまったのではなかったか。 高校の修学旅行の車内、通路で馬鹿話に興じているところへ鈴木ヒロミツが通りかかる。握手をしてもらった。大変感じの良い、気さくな人物であった。少し遅れて楽器ケースを手にしたモップスの他のメンバー。「なんでも一人で決めちゃうんだもんなァ」とぼやく星勝。東京駅だったか、停車中のホームで再びモップスを見かけると、なにやらもめていた。バンドはこうじゃなくちゃ。解散直前だったのであろう。

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一日  


ついこの間、半袖のTシャツで歩いている人を見たと思ったら、急に寒くなる。私のような“全方行的”方向音痴は、ついうっかり、今年もあとわずかだな、などとよぎりそうになる。 ヨーカドー木場店に出かけると、入り口に多数の警官。囲まれた老婦人がなにやら説明している。ひったくりでもあったのだろうか。うろついてる警官に、何事かと訊こうかと思ったが、警官というもの職業柄、人と話す時、目の奥を探るような目つきをする。あれは自動的にカチンと来るものである。病的な方向音痴の私も、交番で道を尋ねるくらいなら、迷った方がマシと思っている。しかしそれは、私に社会人という感覚が希薄なために生じる罪悪感でそう見えるのだと、ヒドイことをいう奴がいるが、その通りであろう。

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早稲田大学小野記念講堂にて。第一部【ダンスの映像をそうみるか/秘蔵の映像と解説】『ダンスと映像/ダンスをライヴで見ることと、その映像を見ることとはどう違うのか』の終わりの方に間に合う。4時間以上のイヴェントなのでゆっくりと出かけた。『映像と舞踏/伝説の誕生する瞬間』新発見されたという大野一雄と笠井叡の70年代のフィルム。私には良く解らず。最前列の客が投げ出した脚がずっと写っていた。『DVDと歌舞伎舞踊』玉三郎の市販のDVDを見ながら、舞台を観ることと映像を観ることの違いについて。『銀幕のバレエ/ハリウッド映画がバレエをどう取り入れ、どう扱い、どう排除していったか』鈴木晶氏の発表が今日の楽しみの一つであった。バレエ・リュス・ド・モンテカルロ出身のシド・チャリス(チャリシーは間違いだそう)のバレエシーンの美しさ。バレエ・リュスといえば、日本ではディアギレフのバレエ団を指すが、アメリカではモンテカルロの方を指し、そちらの方が有名だそうである。ミュージカル映画スターの彼女だが、ニジンスキーの妹のブロニスラヴァ・ニジンスカの弟子だそうで、サイン入り写真を持っている私は、始めてみる二十歳そこそこの姿に釘付け。 第二部【ダンス創作の秘密/3人の振付家のよる競演】課題曲にもとづく創作。 課題曲マイ・ウエイをコンテンポラリーダンス、バレエ、日本舞踊によつそれぞれの解釈の実演。なかなか面白い試みである。長時間のイヴェントであったが、興味深いことが多く、寝たのはちょっとだけであった。

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リニューアル版のディアギレフようやく完成。 ここにきてネット上で、始めてみる画像を2カット発見。一つは右に着けているはずのモノクルを左目に着けている。不鮮明な画像であるが、よくある逆版ではない。ディアギレフが右の生え際を常に白く染めているので判るのである。 もう一つは帽子を被っているカットだが、デカイ頭に、そんな小さい帽子でどうする?それは被っているのではなく、乗せているだけだろう。襟の大きなコートを何種類か着ているが、この襟の大きさは、大きな頭を小さく見せるらしい。 前回のディアギレフは傲慢な興行師というイメージで作ったが、この男は笑っていても目が哀しげである。怯えたように見えるものさえある。“口八丁手八丁で金を集めては来るが、すべてバレエ・リュスにつぎこみ、おかげで常に破産寸前のホテル暮らし。支離滅裂な状態の舞台を数日徹夜の采配で、目は落ち窪み、ボロボロになりながら開演直前にまとめ上げ、どこかに消えたかと思うと、開演15分前に正装を完璧に決め、ヘアートニックをプンプンさせて現れる。スラヴの若い才能ある男を愛人にして、女が出来ればスッパリと切り捨てる。頭が大きいせいで、難産で母親が死んだと言われ、最後は糖尿病で死ぬチョコレート好きな男”

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ディアギレフのかけるモノクルというのを、私は構造を知らずに二回ほど作った。実態を知ったのは、深田恭子の『富豪刑事』で、夏八木勲がかけているのを見たときである。ちなみに、ラジオで深田恭子が餃子には酢しか使わないというのを聞き、やってみたら、あれほど苦手だった酢が平気になっていたのに気づき、以来、酢を多様するようになった。有難う。 それはともかく。 モノクルなどかけている日本人など、見たことがないが、それは当然、彫りの浅い骨格には向いていないからであろう。ディアギレフを作るにあたり、貴族っぽく気取らせるには必要不可欠なアイテムである。

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午後神田でデザイナーの北村さんと待ち合わせ、ほぼ完成したデザインのコピーを見ながら説明を受ける。こんな事になりましたか。なんとなくイメージしていた物とは違っていて、実にカッコが良い。偶然がうまく作用している部分もあり面白い。こういうことは、集中した現場では良くあることである。先日など、こういうものが欲しいと北村さんが目の前で描いた絵が、その数日前に私が撮っていたものと同じカタチをしていた時は、ゾッとした。ゾッとしたわりには、それは最後のぺージで、少々濃い物を観てしまった人をホッとさせる役目をしていた。 ディアギレフがようやく乾燥したので、細部の仕上げに入る。モノクル(片眼鏡)とステッキを持たせるのが楽しみである。それにしても、首を外していると金日成でも作っているかのようである。 

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