毎年大晦日は、昨年出来なかったこと、あるいは思い付かなかったことが出来たかどうか、それを考える。去年と変わらなければ、ただ一年冥土に近づいただけであり、こんな怖いことはない。 今年はたぶん始めて個展を二度やった。一つは青木画廊の三回目のピクトリアリズム展だが、それまでの二回はオイルプリントで、今回は、被写体から陰影をなくし、結果日本画的になる、というもので、長年日本画の自由さを取り入れたいと、考えていた結果が、陰影の呪縛から解き放つことにより、どんなモチーフも手掛けることが可能になったろう。思いついて一年余りでの個展であつたので、陰影ある作品が混在したけれども。写真による日本画的遠近法は、時期尚早であつた。もう一つは、銀座のど真ん中リコーイメージングで一ヶ月の個展で、作家シリーズ最初期から現在までの作品を披露出来た。昔東京の女子は、この旧三愛ビルで水着を買ったものである。 未だに続いている部屋の片付け。おかげで来年に向け弓を引き絞り、ゼンマイはフルに巻かれた状態での新年となるであろう。この巻き具合からすると、二回の個展は再び可能な気がするのだが。