大型スーパーに食材を買い物に行くと、つい母に、と考えてしまう。最後の2年ほどはホームが誤嚥を恐れ、大したものは持って行けなかった。一緒に買い物に行っていた頃、嬉しそうに食品の棚をを見上げる表情が思い出される。 父の時も涙一つこぼれなかったが、昔から男が一人工作する姿にツンとくるところがあった。父とも通った大工センターに材料を買いに行ったら、そのイメージは日曜大工好きの父のイメージだったのだ、とフイに気付いて、亡くなって随分経っているのに涙が止まらず、買い物どころでなく帰ったことがある。そう思うと、母が亡くなり2ヶ月が過ぎ、そろそろ危ない頃である。一番危険なのは、あの嬉しそうな買い物中の母の顔だろう。こう書いていても危ないので、スーパーでカミさんに、ただついて歩いている使い物にならなそうなダンナが邪魔臭い、ということで終わっておく。