仕方のない事だが、様々な方面から、何々の日程はどうしますか、何々はどうなりますか、と引っ越し準備をしていると連絡が来る。面倒くさがりが服を着ているような私は、次第にイライラが募るが、すべて自分が撒いた種である。数日前、彼方の地平線を眺めるマサイ族の戦士の風情で、ベランダの外の景色を眺めていたのは多分私だが、その後ロケットマンなんか観に行き、そのシワ寄せが、ちゃんと来ている。 中学生の頃から試験になると、これだけ勉強していないのだから、今日の私が寝てしまえば、明日の私は勉強しない訳に行くはずがない。明日の私に任せて今日は寝てしまおう。つまり明日できる事今日はせず、という訳だが、勉強しない訳に行かないはずであつた翌日の私は、昨日の私を裏切り、またしないのであつた。 アナログレコードをドンドン捨てるぜ、と意気込んだものの、誰かに貰ったかぐや姫と、Zや魚が出て来た日の映画音楽をイメージして買ったら、たたの民族音楽風でガッカリしたミキス・テオドラキスと、イエローブルースとかいう、たった3枚であった。いや大丈夫。レコードはともかく、本は持って行く物はすでに分けてある。昨日の私に托された今日の私だが、明日引っ越し屋が来るので、今日の私は明日の私に託す訳には行かない。昨年から飲めるようになったブラックコーヒーだが、私にはカフェインはビクリとも効き目がなく、不安になりながらこれを書いている。
タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第16回『トラウマ』