最近Kさんは朝から飲まなくなったので、一日中泥酔して怪我をしたり周囲に迷惑をかけることがなくなった。夏バテ気味だとか、他にも理由はあるが、それはともかく喜ばしいことである。房総で大はしゃぎしたのが今のところ最後である。口癖の死んでも良いを連発した翌日、はしゃいだ原因が帰ってしまい、屍のようにニコリともしなくなった晩。ベランダにイタチ、カワウソの類が一瞬表れた。ニホンカワウソは絶滅したと公表された。あれはなんだったのであろうか。ハッキリしているのは、いわゆるキツネ色ではなく黒かった。
制作中の泉鏡花作『貝の穴に河童が居る事』は河童が自分の腕を折った人間に復讐するため、鎮守の森の姫神にあだ討ちを頼みに行くという話であるが、そんなこととも知らない三人組は、河童の術で酒に酔ったかのように踊りながら街中を行く。踊るシーンはもう一つ。鎮守の森の神様に障ってしまったのでは、と鎮めるために踊る。この2カットが完成した。綺麗な着物を来た人たちがすりこぎとしゃもじを持って踊っているのである。人に見られるわけにいかない撮影であった。
出版社が潰れて廃版になってしまった私の初出版は江戸川乱歩である。12人の作家を扱った2冊目。そして3冊目が泉鏡花になるのだが、趣は異なるが、乱歩と同じく鏡花も相当幼児性の強い作家である。私がこの二人選んだのは偶然ではなく、クレヨンを握ったまま寝てしまい、体温で溶けてシーツを汚して叱られた頃と変わらない陶酔感を感じている私も、幼児性に関しては御同様のようである。
過去の雑記
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