明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

搬入  


82年の初個展で、始めて売れたのが黒人の子供である。幼い頃観た『ちびっこギャング』や出演者が黒人ばかりの人形アニメにも、カカシとともに子供が出ていた。蓄音機の音を聴くビクターの犬などもイメージの素であったろう。これを一体だけ再現してみた。画像をアップしようと思ったが、どうも私らしくない作品なので気恥ずかしくなって止めた。 新作が18年振りの黒人に、初個展時の子供。その真ん中の、18年前のジャズシリーズ最期の個展に出品した女性も展示することになった。私がまず作らない女と子供が並ぶことになり、肝心の男は、これも私が作らない笑顔である。こんなことが出来るのもグループ展の面白さであろう。結局新作の男は本日の搬入に間に合わず、とりあえず2体をもって表参道へ。 今ではすっかり出不精になってしまったが、80年代にはこの界隈にもよく来たものである。その頃、ジャズの作品など展示できる画廊はこの辺りにしかなかった。 私の初個展と2回目は、ビリケン商会のはす向かいにあったギャラリーである。黒人音楽好きのビリケンの三原さんは2回目の時に来てくれたが、初個展は知っていたけど行かなかった、といっていたのを覚えている、どうやら当時画廊が苦手で2回目は意を決して来てくれたらしい。今でこそビリケンギャラリーを構える三原さんの、それが画廊の初体験と聞いて驚いた。 ところで肝心の新作は、これから着彩である。夕方のオープニングには無事立っていることを祈りたい

『ボブ・マーリーよみがえるレゲエ・レジェンド 発売記念展』

ボブ・マーリーの評伝と未発表写真を多数収録した『ボブ・マーリー よみがえるレゲエ・レジェンド』の発売記念展。 

20151月31日()215日() 月曜休み

ビリケンギャラリー

107-0062 東京都港区南青山5-17-6-101

TEL.03-3400-2214  FAX.03-3400-2478

http://www.billiken-shokai.co.jp

OPEN  1219時 月曜休

 参加作家

安齋肇 飯野和好 石塚公昭 イマイアキノブ オブチジン 東海林巨樹 菅原光博 

高橋キンタロー 高橋宏幸 根本敬 早川モトヒロ みなみりょうへい ヤギヤスオ 山福朱実

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出品する作品の乾燥終了。細部の仕上げに入る。レゲエというと、独特のヘアースタイルを抜きにするわけにはいかない。伸ばし放題の縮れっ毛が絡まってああなるそうだが。粘土に強力なボンドを混ぜ作った。ストーンズがジャマイカでレコーデイングした70年代の始めであったか、音楽誌ではレゲエでなく、レガエと表記していたような気がする。 出品作品はボブ・マーリー本人ではなく、特定の誰、というわけでもない想像上の人物である。私はもともとそういった人物を作ったのが原点である。楽器や着衣以外は写真資料を参考にすることもなかった。本当のことが頭に入ると二度と出て行かない。事実と違っていても、そう思い込んだのには理由があるだろう。と作風?が変わることを恐れていた。いかにもな独学独習者の思い込みである。レゲエといっても特定のコスチュームがあるわけではないし、特徴的なヘアースタイルにしても決まりがあるわけでもない。依頼された作品以外では久しぶりに写真資料を参考にすることなく制作した。本人に対する責任が無いところが清々しい。 初個展に出品した子供の人形。大まかな石膏型が残っていたので再現できそうで、これも1体出品できるかもしれない。写真が残っていないし、記憶も曖昧だが、たしかビクターの犬からイメージしたような気がする。この2体の間には約30年の隔たりがあることになる。

『ボブ・マーリーよみがえるレゲエ・レジェンド 発売記念展』

ボブ・マーリーの評伝と未発表写真を多数収録した『ボブ・マーリー よみがえるレゲエ・レジェンド』の発売記念展。 

20151月31日()215日() 月曜休み

ビリケンギャラリー

107-0062 東京都港区南青山5-17-6-101

TEL.03-3400-2214  FAX.03-3400-2478

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OPEN  1219時 月曜休

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18年振りの黒人像制作。作ったことがほとんどない笑顔にした。さらにシャツを前面思いっきりはだけている。 ジャズマンの場合、作るのはスーツ姿ばかりであったが、ネクタイを緩めている人物を作ろうと何度も試みたが、我慢ができず。きりっとさせてしまった。制作者を思うと不思議である。やはり50年代のジャズマンの、禁欲的とも思える姿が格好よく見えていたからであろう。しかし今回はジャマイカンという設定なので、作ったこともないようなことを試みたわけである。久しぶりなのに作ったこともない姿とは少々危険であるが、私が黒人ばかり作っていたことを知る人も少なくなったであろう。ところである表現方法について、なんだこうすれば良かったんじゃないか。ということに本日気がついた。ちょっとしたことなのに今まで気がつかなかった。少々大げさにいえば目から鱗。私としては今後の制作に生かしていくことだろうが、技術的なことなので書いたところで面白くもなく、他人にとってはそれがどうした。という話であろう。何年やっていても気がつかないことはつかないし、18年振りに珍しく手掛けた作品の制作中にフト気付く。こんなあこともあるのだな、と。そういえば、近所に看板でもない奇妙な三角が付いたビルがあり、下を通ってこのビルに25年も通いながら三角に気付かない人物もいた。私にいわれなければ気付かないまま定年を向かえたに違いない。

オイルプリント制作法

インキング映像↓

http://youtu.be/kZozcEqgKsE 

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制作中の最新作は18年振りの黒人であるが、懐かしい気はせず、むしろ黒人ばかり作って来て、作家シリーズの最初に澁澤龍彦を作るため、何度も粘土を引きはがし脚を切断し、日本人制作のため、頭の切り替えに苦労したことの方が思い出される。 制作中なのは架空の人物である。実在した人物と違って写真資料を集める手間もなく、似せるために時間を費やさず、自分の中に浮かんだ人物を作るので進行は早い。さらにファンなど愛好家や遺族に対してのプレッシャーもない。だったらそんな物だけ作っていれば良いという話しであるが、実在した人物は、著作を含め生前のイメージを写真作品に反映させられる面白さがある。 ところで私の初個展は82年である。恩師である小学校の図工の先生の、恥はできるだけ早めにかいておいた方が良い。というアドバイスを真に受け決行した。先生は惚けた後に亡くなったが、小岩のガード下の屋台で始めて飲ませてもらったチューハイが忘れられず、K本では未だ氷無しの正調チューハイしか飲まない。 初個展で始めて売れたのは黒人の子供である。簡単な石膏型を取り、粘土を内側に張り込んで幾つか作った。手間がかかるので後に樹脂でやってみたが、何体か作ったところで硬化中に出るガスを吸い込み、以後気分が悪くなるようになって止めた。これは私が作って来た作品で、唯一カワイイといわれた作品であるが、写真も残っていない。33年振りに最新作とともに作ってみようかと思っている。

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ここ何年も、シャッター切って現像して完成。という作品を作っていない。1カットのためにポーズを変えて人物像を作ってようやく1カット。面倒ではあるが、良いか悪いかはともかく、すくなくとも私の頭の中に浮かんだイメージは可視化できるようになった。外側にレンズを向けず、眉間にレンズを当てる“念写”が理想である私には、それが長らく念願であった。 しかしその反面、何か忘れている物が有りはしないか。それは昨年のグループ展で旧作のセミヌードに十年以上ぶりに再開し、ただそのまま撮った作品を見て、少々遠くまで来過ぎてしまったのではないか?そう思った。次回は自分の作品を被写体とせずヌードだけで個展を、と考えたのはそんな理由もあった。よって手を加えた作品をほんの一部とし、あとは撮影した、ほぼそのままの作品から選択していた。ところが面倒なことばかり手掛けていたので、少々手持ち無沙汰である。柔らかい物ばかり食べていて、何かゴリゴリと顎が疲れるような物が食べたくなって来る。そう思っていた矢先、作品を見てもらった関係者から、色々作り込んでいる作品の方が私らしい。という声が聞こえて来た。 ところで。あれは『あまちゃん』放映の一年前であったろう。夏に房総の魚港を歩いていたら、若い娘達の華やいだ声が聴こえた。近づいてみると若い海女の一団である。全裸の娘までいるではないか。ウエットスーツ姿の年配の海女は時折見かけるが。しかしこの連中。私が近くにいるというのに、まるで目に入らないかのようで知らん顔である。というわけで、久しぶりに心地よく顎が疲れた私であった。

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私が中学生の時に谷崎潤一郎にはまるきっかけとなったのが大映の“谷崎物”である。となれば『瘋癲老人日記』『卍』『刺青』などの若尾文子ということになる。監督といえば市川崑も良かったが、なんといっても増村保造である。スピーデイーな展開や、主役の、下手でもいいからセリフをハッキリ的な演出は、おそらくその後の大映テレビのドラマにも影響を及ぼしたことであろう。東大の同窓生、主演の三島由紀夫をしごきまくったという『からっ風野郎』も印象深い。 今日は『浮草』の前に若尾文子が登場する。以前、母から若尾文子の舞台を誘われたことがあったが、イメージが壊れても、と拒否してしまったが、今回は見られる物はいまのうちに、と写真家白石“雑巾がけ”ちえこさんを誘って出かけた。結果、独特の声もそのままで若尾文子のイメージが損なわれることはなかった。小津安二郎を男性としても好きだったといっていた。 古石場文化センターでは映写機を購入したということで、フィルム上映である。何故か映写室でなく、むき出しに置かれていたのでフィルムチェンジの音が多少やかましかったが、色にこだわった小津映画の、こってりした天然色が堪能できた。この作品はDVDで何度も観たが、フィルムで観るのは格別である。中村鴈治郎は子供の私にはその顔が恐かったが、何ともいえない味がある。杉村春子はさすがに上手く、京マチ子の浴衣姿は色っぽい。十代の若尾文子はいうまでもなし。 その後近所の店で暖まり、2件目の立ち飲みには『貝の穴に河童の居る事』に笛吹きの芸人役で登場してくれたMさんも合流して盛り上がった。

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私の使って来た粘土はパルプの繊維が練り込まれており、そのために乾燥による収縮が抑えられるようだが、繊維のためスムーズな表面の表現には向いていない。そのせいかあまり人気がないらしい。しかし男性を作る限り、その粘土の粗い質感がかえって雰囲気が出る。よってペーパーがけは最小限にとどめる。一方それが女性を作るとなると逆効果となってしまう。そもそも男と女という、これだけ異質な物を、同じようなサイズ、表現方法で、同じ土俵に並べられる気が私にはまったくしないのである。そんな所も、たまたま選択した材料にすでに現れていたのかも知れない。 18年ぶりの黒人像制作であるが、思ったより違和感がない。というよりまったくない。最初に頭部作るため粘土を一塊つかんで、そこから黒人の特徴を出すように、長年やっていた手順があるが、まるで昨日までやっていたかのようである。私は自分がいつの間にか齢を重ねているのがどうも解せない。頭をぶつけて数十年間気を失っていたのではないか。18年ぶりに作っているのにこの違和感の無さはどうしたことか。この後作家シリーズを18年続けていたのは気のせいではないのか?あくびしているうちに一生など終わってしまいそうである。 

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昨年の古典技法によるグループ展は、それぞれ異なる技法であったが、とりあえず絵の具を使う“ピグメント派”の私と鈴木ノアさんと白石ちえこさん。それにシドモトヨウイチさんも加わり、本年初のK本へ。氷が入らない正調のホッピーは焼酎の量が多い。ホッピー一本すべて注ぐことをアドバイスする。お勘定の時、女将さんのチョークによる逆さ文字を久しぶりに見た。続いてT千穂へ。 女性と飲み会というと必ず酔っ払いの人間イタチKさんが来てしまうので内緒である。グループ展では朝から酔っ払ってるから来るな、というのに来て、私の作品を指で触るような狼藉をはたらいた。 鍋を囲む。オイルプリントによる次の個展は、初めて被写体が人形ではなく女性のヌードである。これが最初で最後になる可能性もあるので、過去に撮影したデータからも選んでみたが、60カットにもなってしまった。まだ二人撮影しなければならないので3分の1くらいにしなければならない。そこでモノクロプリントを持参し、3人に参考にするため選んでもらった。飲み会に写真が加わり論議も白熱。色々面白かった。もっとも、モノクロで良くてもオイル向きでない物、またその逆があるから厄介なのだが。

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新年  


ネットにつながらないのはルーターのせいらしい。再設定というところで面倒になった。ブログは書きつけていると苦ではないが、書かないでいても、さらに苦ではない。とネットカフェにて。 新年そうそう18年ぶりに黒人を作っている。どうせ久しぶりなら、とあまり作ったことのないもの、と笑顔の人物にしてみた。見る側のイメージを限定しないよう、常に無表情の人物を作ってきた。撮影に際しても、光線具合で表情を炙り出せる場合があるので好都合である。 またフランシス・ウルフ撮影、リード・マイルスデザインの、ブルーノート盤のクールでストイックな雰囲気に憧れていたことも大きい。久しぶりなら慣れている物を作れば良いのに、と思うのだが、ついそうなってしまった。駄目だったら18年のブランクのせいにしよう。 この人物は特に誰、ということはない。もともとそんな人物ばかりで、実在した人は数えるほどしか作らなかったが、ジャズシリーズ最後の個展で写真を撮ることに決め、だったら実在したジャズマンを、と作った。もともと何かを参考に作るのが苦手で、デッサンも中途半端にしかしたことがない。しかしその後作家シリーズに転向し、実在した人物ばかり作ってきた。思えばカメラやパソコンや資料を参考に、などと苦手なことばかりやることになってしまった。ついそうなってしまった。 新年ということで。落語に正月に、女房の尻を叩いて景気良く、餅をついているような音を出す貧乏人の話を思い出した。

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