三島がヤクザ者を演じた『からっ風野朗』(大映)私は子供の頃テレビで観て、その演技の下手さに笑った覚えがあったのだが、改めて観てみると下手ではあるが、子供の私に笑われるほど酷くはない。しかし、あきらかに笑った記憶がある。そうしてみると劇中、キャバレーのシーン、水谷良江の『太くて長ァーいバナナの実ィー♪』(ちょっと違うかもしれない)という歌が怪しい。獄中にいた三島の愛人の役なのだが、その幼児向けのようなバカバカしい歌を、半裸のダンサーを従え、ハスキーな低音で、粘るようなスローテンポで歌うのだが、これは子供でも笑えるのではないか。いずれにせよこの映画のせいで三島を読むのが遅くなってしまい、実に惜しいことをした。 しかし面白いと判っていながらあえて近づかない事や物も多い。面白いからと言って手を伸ばすには、人生はあまりにも短いのである。作家シリーズも気がついたらすでに10年。そう簡単に次は○○やろうとは言えない。先日その話をしていたら、私よりそうとう年下の編集者が、(年長者への尊敬の念が足りないところが不満な男だが)私があと10年で還暦?!と、横にいた人物と同時にステレオで、耳がキンキンする音量で大爆笑。言われてみると可笑しいので、一緒に笑ってしまった私も私だが。
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