昨年の深川江戸資料館の『深川の人形作家 石塚公昭の世界』では三島由紀夫が生前、篠山紀信撮影『男の死』用か、実際に背中に入れようとしていたかは定かではないが、いずれにしても間に合わなかった刺青を、(実際に入れようとしていたと信じているが)本人の代わりに人形の三島に唐獅子牡丹を入れ、展示ができた。今思うとこのご時勢によく、と思うが、それが実現したのは女刺青師彫Sに直接唐獅子牡丹を描いてもらったからだが、その彫Sからあれ以来連絡があり、狐火のイメージは?と訊ねられた。自分自身に入れるという。私も円朝用にヒトダマを筆で描くつもりでいる。久しぶりに会うことになった。 彫Sを被写体に、と考えたこともあったが、入っている墨が中途半端で残したくない、とのことであった。あれから大分進んだ、というので画像を見せてもらった。未完成の筋彫りの状態であったがリアルな女郎蜘蛛がいるではないか。それは背中一面ではなかったものの、頭の中に俄かに“タニザキ”の名が駆け巡った。こういうことを“寝ている子を起こす”といい、度々私をピンチに追い込んできた危険な兆候である。 また飼っている蛇の大きさを聞いてみると長さ3メートル。太さは人のふくらはぎくらいはある。締められて危ない、と思ったことは?と聞いてみると「ある」とのこと。 世の雑事とかけ離れた話ばかりであったが、こんなこともなければやってられない。
HP
| Trackback ( 0 )
|
|