虎渓三笑の慧遠法師と陶淵明と陸修静が乾燥が終わり、仕上げを待つのみとなった。ちょっと残念だったのは、慧遠法師と陸修静は想像で作れたが、陶淵明は小学三年の臨時教師としてお世話になった田中先生に、私があまりに人物伝を読みまくっていたので、転校される際にいただいた世界偉人伝の挿絵で覚えがあり、といっても李白と区別が付かず中国の詩人は皆ヤギ髭にどじょう髭、釣り上がった目と眉毛である、と曖昧な記憶であったが、あるからには、陶淵明だけはヤギ、どじょう髭に釣り上がった目と眉毛にすることになった。 三人を組み合わせなど初めてのことだが、表情を生かす角度で、などと三人を組み合わせていると、いくらでも面白くキリがない。中景の石橋を早く撮影し、二カット程度に納めたい。最後にはこの期に及んでまだまだ初めてのことなどいくらでもある。三人も作ったのだから、せいぜい創作の快楽を味あわせてもらわないと許す訳には行かない。石塚君は相変わらずだね、と田中先生はいうだろう。先生は子供の日記が原作の「にあんちゃん」の話をたびたびされていた。何年か前に思い出して映画を見て、子供達に伝えたいことをお持ちの先生てあったとしみじみと感動した。