夕方某所にて彫Sと会う。彼女のお客を紹介され仕事場で撮影、オイルプリントにして以来である。刺青を入れてる所も見学させてもらい、東映のヤクザ映画との違いを認識。彫って行くとミミズ腫れのようになり、腫れがひくまでレリーフ状になる。顔料や血液、体液を拭き取りながら彫り進めるのだが、当初は体液の匂いに慣れずに苦労したといっていた。彫られている女性も知り合いだったので(知り合いでなくとも)どれどれ?と後学のため嗅いでみようとは思わなかったが。 『三島由紀夫へのオマージュ展 男の死』の時に、市ヶ谷へ向かう車中、「ヤクザ映画ならここで唐獅子牡丹が流れるのだが」と三島が歌い出し、隊員も一緒に合唱したことから、三島の背中に唐獅子牡丹の構想はあったものの、刺青の表現を考えているうち時間切れで断念していた。本物を撮影して“移植”することも考えたが、ウソとホントの間を常に泳いでいるような私であるが、どこがホントでどこがウソか、というのは、実は重要なところなのである。そしてようやく、ウソの三島の背中にホントの刺青師に描いてもらう、というところに落ち着いた。近年の刺青は漫画じみて目を覆いたくなるものが多いが、彼女の場合は古典的なところが良い。当初から彼女にすべてお任せするつもりでいたが、資料写真を見ながら検討し、意見もことごとく一致した。 見ていただいている方々に、必要以上に期待感をつのらせていただくために1カット。
特別展『百年目に出会う 夏目漱石展』神奈川近代文学館 漱石像出品
深川の人形作家 石塚公昭の世界展4月23日より
『朗読、音楽、スライドで味わう 乱歩と鏡花』予約受付中
『タウン誌深川』“常連席にて日が暮れる”第4回