河童が棲み家に帰って行くラストシーンは、当初曇天のドンヨリとした太平洋を飛び去るところを考えていた。たまたま暗雲たれ込める太平洋のカットが手元にあったからだが、こいつは名場面になるぞ、と思ったのもつかの間。房総の海辺から内陸の沼に帰るのだから、太平洋に向かって飛び去ってはいけない。どうも昔の怪獣映画によくあるラストシーンが頭にあったのではないか?随分前に気がついたから良いようなものの。 カラスをお供に飛ぶカットは2カットを考えている。空中を翼を広げて飛んでいるカラスをまず作った。曇天にカラスは黒と銀で描かれたようで、それまでのカラーから最後を飾るにふさわしいように思える。見開きに後続のカラスを大きく描き、前をいくカラスを追って、機嫌を回復した河童がはしゃぎながら飛ぶ予定である。ちょうど暴走族が蛇行して走っている感じが浮かぶ。河童のこういう状態を子供の頃“泣いたカラスがもう笑った”といった。あれだけドタバタ泣いて、人間どもに仇討ちを願い出たはずなのにケロッとしている。河童は単純である。 近所に住むほうの河童のK公は、検査に行くといいながら怖がってなかなかいかない。これから行く、と何度だまされたか。心配するだけ損である。行っても頭のレントゲンは撮らない方が良いよ。梅干の種みたいなのがコロコロいってるだけだから。といってある。
書籍表紙用の某社長。現役の方なので、追加撮影してもらった大きめのプリントが送られてきた。これなら部屋にずらっと並べ、あっちを見たりこっちを見たりして作れる。資料として常に本に掲載されている1センチ角や幼い頃の写真まで利用してきたことを考えると、こんな贅沢はない。真正面と真横の写真があれば大丈夫なのだが、送られてきた写真は頭のテッペンや、のけぞって顎を下から撮ったもまであった。その辺りは資料がなくても自動的に出来上がる部分である。おそらく立体なので、テッペンや顎もあったほうがいいんじゃないか、と撮影者と話し合われたかもしれない。レンズの前に頭頂部や、顎の下を差し出している社長。この方の人間性が伺われる気がして、少々照れた表情とともに、むしろそちらが参考になったのであった。
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