毎年大晦日になると、去年の私ができなかったこと、思い付かなかったことができただろうか、と考える。去年と同じではただ冥土に一年近づいただけで、こんな恐ろしいことはない。 私が昔からなんとなく想定していたのは、晩年、今までのデータを超が付くアナログ技法オイルプリントに置き換えて終わる、ということだったのだが、ここ数年気になっていた浮世絵、日本画に感化され、自分で陰影を作り出したはずの人形から陰影を極力取り除き、未だ試行錯誤中だが日本的遠近法も試みている。ここへ来てまた、新たなことを始めるとは思いもよらなかった。こうでなくてはいけない。ただいま制作中の葛飾北斎は、逆に西洋的遠近法と陰影方も取り入れる、という、妙なところですれ違っている。これも縁ということであろう。 縁といえば谷中の全生庵の、年に一度の三遊亭円朝旧蔵の幽霊画展のおり、円山応挙や高橋由一、伊藤晴雨作品と私の円朝蔵像が同室させていただいたことであろう。さらに、今年は最初に前述の新手法を試みたのは、『鏑木清方作三遊亭円朝像』へのオマージュ作品であり、ここから始まった訳だが、鏑木清方作のお菊さんが百年ぶりに発見され、全生庵に出品されたことは、どう考えても、清方から私へのご褒美だったろう。 実在した人物はもう作らないといってるそばから北斎を作り始める私であるから、来年の抱負は書かないでおく。今年一年当ブログに訪問いただき、駄文にお付き合いいただいた皆様、有り難う御座いました。良いお年を。
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