徒然草 151段
「年五十になるまで上手に至らざらん芸をば捨つべきなり。
励み習ふべき行末もなし。老人の事をば、人もえ笑はず。
衆に交りたるも、あいなく、見ぐるし。大方、万のしわざは止めて、
暇あるこそ、めやすく、あらまほしけれ」。
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なんと、 「50才になるまでに上手にならない芸は捨てるべき。
芸事は、50才以上になって習い励んでも、もう先が無い。
老人が若い人たちに交じって練習するのは見苦しいものである」
と断じている。 耳が痛い。長生きするようになって、今や
尺八愛好家の大半が60過ぎであろう。60すぎて、他人様の前で
聞かせられるような腕前まで上達していないならば、やめてしまえ
ということだ。自分ひとり山にこもって吹くならかまわないが、
他人に聞かせるとなると、聞かされる方は迷惑。見苦しいものである。
わが師、堀井小二朗が、「尺八は尺八家によって滅びる。
音程もリズムも悪い尺八を聞かせられては、これでは、誰も
尺八を習う者がいなくなる」と喝破した。
今尺八界は、若い世代の尺八家によって、革新が遂げられつつある。
もう我々老人は引退すべきである。私も今年で引退すっか。