ケイの読書日記

個人が書く書評

新堂冬樹「砂漠の薔薇」

2006-05-07 15:22:47 | Weblog
大好きな本・読んだ本


 数年前、東京文京区で起こった「お受験殺人」を覚えている人は多いと思います。それを題材としたフィクション。

 以前、佐々隆三のノンフィクションを読んだことがあり、それから比べると、かなり脚色してあります。


 ごく普通のサラリーマンを夫に持つのぶ子は娘の名門幼稚園受験に向け、ハイソなお受験ママ達のグループに加わる。しかし、生活水準が大きく違うのぶ子は、周りからいじめの対象にされ、屈辱的な扱いを受ける。
 そんなある日、陰湿ないじめを繰り返すお受験ママの一人、芳江の万引き現場を目撃したのぶ子は……。


 のぶ子が、お受験ママ達のリーダー格で幼馴染の十和子の娘を殺害する動機が(このフィクションでは)のぶ子が子ども時代に母親から受けたトラウマが遠因になっています。
 今は、トラウマ大流行の世の中ですから、なるほど便利な動機だとは思いますが、そんな単純なものでしょうか。


 現実の事件の、山田みつ子被告は「お受験は関係ない。母親同士の心のぶつかり合いが原因」と述べたそうですが、いくら心がぶつかり合う相手でも、お受験というファクターがなかったら、3歳の幼女を殺害する所まではいかなかったでしょう。

 しかし、山田みつ子被告、独身時代は看護婦、結婚してからは住職見習い僧の妻として、よく働く良い人だったというのに。
 どうしてこんなことになったんでしょうか。
コメント
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