ケイの読書日記

個人が書く書評

カーター・ディクスン(カー)「白い僧院の殺人」

2006-05-18 14:17:44 | Weblog
大好きな本・読んだ本


 カーにしては珍しく、オカルト的要素が薄く、絵画的な美しい作品。


 ロンドン近郊の由緒ある建物<白い僧院>そこの別館でハリウッドの人気女優が殺された。
 建物の周囲30メートルに及ぶ地面は雪に覆われ、ついている足跡は死体の発見者のものだけ。
 犯人がこの建物から脱出した際につけたはずの足跡は影も形も無かった。いったいどうやって……?


 その殺されたハリウッド女優というのが、まぶたのふくれた大きな目、浅黒い肌、細い首筋、ぽってりとした唇、物憂げな態度、心の底にひめた情熱、といった昔の高級娼婦のような性的魅力の持ち主で、たえず色恋沙汰の渦中にあり、また、その殺された場所というのが、17世紀チャールズ二世が愛人と逢引したという大理石の別館で、雰囲気十分の舞台設定。


 トリックとしては、無理なこじつけはしておらず、いいトリックだと思う。

 ヘンリ・メルヴィルのオヤジは、相変わらず飲んだくれてはいるが、あっという間に事件を解決していまい、スコットランドヤードの影の薄いこと。何のためにいるんだろう。


 ヘンリ・メルビル卿とフェル博士の区別がつかない。
 ポアロとマープルみたいにタイプの違う探偵じゃないと、登場させる意味がないと思う。
 なにか、特別な意図があるだろうか?
コメント (2)
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