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ケイの読書日記

個人が書く書評

冨田香里「それでも吐き続けた私」

2007-03-12 17:00:33 | Weblog
 「過食症を克服した29歳の記録」というサブタイトルがついている。
 摂食障害については私も興味があって、手記のようなものを他にも読んだことがあるが、この『それでも吐き続けた私』というノンフィクションがあまりにも明るいので驚いた。

 それは、この香里さんが母親の公認のもとに過食嘔吐を繰り返していたからかもしれない。
 なにしろ中2の時、お母さんにダイエットについて相談したら「いっぱい食べて庭で吐いちゃいなさい。ママもそうしているから」とアドバイスされたと言う。
  ビックリ!!

 この香里さんは1965年生まれ、お母さんは28歳で香里さんを産んでいるようだから1937年生まれ。つまり戦前生まれなのだ。その人でも過食嘔吐しているなんて。
 私は、摂食障害は飽食時代の仇花だと思っていたから、本当に驚いた。

 でも、北朝鮮でも美女軍団にいる人など、太りたくないと食べたものを嘔吐している人がいると聞いたことがある。
 外見への強いこだわり、やせていなくては美しくないという思い込みは、飢餓国家・北朝鮮の女さえも支配しているのか、と思うと恐ろしい。


 何にせよこの本の中には「私はヘンな事をしている」という精神的プレッシャーには触れられているが、具体的なデメリットは書かれていない。
 過食症のデメリットは色々あるだろうが、まず歯がぼろぼろになるという事。嘔吐する時、胃酸もいっしょに出てくるのですぐ歯がやられてしまうようだ。

 そして最大の問題は、お金がかかりすぎること。
 例えば筆者の香里さんのレストランのはしごや、コンビニで大量に食料品を買いあさる行為から考えるに、1人で1ヶ月10万~20万円ぐらい食費に使うんじゃないだろうか?
 斎藤学という摂食障害に詳しい精神科医は「患者本人は言わないが7~8割くらいが食料品の万引きの経験があるんじゃないか」と述べている。
コメント
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