1912年作品。アメリカの大富豪がイギリスで頭を撃たれて即死した。重要な容疑者は美しい未亡人。敏腕な新聞記者で優れた画家であるトレントは怪死事件の解決にのりだす。
解説の中島河太郎は「犯罪ないし探偵と恋愛との有機的な結合に見事成功」と書いているが、私にはそうとは思えません。
トリックも悪くないし、最後にドンデン返しがあるので、いい作品だとは思うが、推理小説としての盛り上がりに欠けます。
小説の半ば過ぎ、恋愛部分で大いに盛り上がってしまうので、最後の一番面白いはずの謎解き部分が蛇足のように感じられる。
名探偵役が容疑者に著しい恋愛感情をいだき、しかもハッピィエンドで終わると言うのは、推理小説を期待した読者への背信行為だと思う。
これが、探偵役の胸の内にひっそりしまっておける恋だったり、相手の女が非常にしたたかな犯罪者で、探偵が煮え湯を飲まされる、というのなら分かるが、めでたく結婚にゴールインというのは、推理小説のお約束を無視していますね。
この小説は、ブラウン神父で有名なチェスタトンへ捧げられています。作者のベントリーとチェスタトンは同じ学校の1年後輩先輩という間柄で、生涯親交があったようです。
素晴らしい時代をお二人とも生きたんですね。
解説の中島河太郎は「犯罪ないし探偵と恋愛との有機的な結合に見事成功」と書いているが、私にはそうとは思えません。
トリックも悪くないし、最後にドンデン返しがあるので、いい作品だとは思うが、推理小説としての盛り上がりに欠けます。
小説の半ば過ぎ、恋愛部分で大いに盛り上がってしまうので、最後の一番面白いはずの謎解き部分が蛇足のように感じられる。
名探偵役が容疑者に著しい恋愛感情をいだき、しかもハッピィエンドで終わると言うのは、推理小説を期待した読者への背信行為だと思う。
これが、探偵役の胸の内にひっそりしまっておける恋だったり、相手の女が非常にしたたかな犯罪者で、探偵が煮え湯を飲まされる、というのなら分かるが、めでたく結婚にゴールインというのは、推理小説のお約束を無視していますね。
この小説は、ブラウン神父で有名なチェスタトンへ捧げられています。作者のベントリーとチェスタトンは同じ学校の1年後輩先輩という間柄で、生涯親交があったようです。
素晴らしい時代をお二人とも生きたんですね。