ケイの読書日記

個人が書く書評

フィルポッツ「闇からの声」

2007-06-11 14:39:48 | Weblog
 引退した名刑事リングローズは、旧領主館ホテルに遊びに来ていた。ところがその夜、彼の耳に闇をつんざく子どもの悲鳴、恐怖におののく叫びが聞こえてきた。
 不思議に思ったリングローズは、翌朝ホテルの中を探したが、それらしい子どもは見当たらない。
 不審の念にかられたリングローズに、同宿の老婦人が説明してくれた。…その子どもは亡くなったんですよ。このホテルで1年以上も前に…。


 つまらなくは無いが、さほど面白くも無い。前回読んだ「赤毛のレドメイン家」が傑作だったので期待したが、ハズレかな…。

 犯人が最初からわかっていて、その犯人を追いつめるところが読みどころのはずだが、たいした挫折もなしにスイスイと追いつめているので退屈。
 登場人物の魅力が乏しい事も、つまらない要因の一つ。
 また、犯人とリングローズの話が、とても観念的というか抽象的というか…。イギリス人って食事中やアルコールを飲んでいる最中に、こんな議論をするんだろうか? 消化不良をおこしそうです。


 この作品中、いいなぁと思ったのは次の一点だけ。
 登場人物の一人が度を超えた象牙細工コレクターで、そのコレクションの中に日本の根付があったのだ。とっても好意的に評価してくれていた。
 いいなぁ。(クリスティの小説の中にも、たまに日本の工芸品や美術品のことが書かれているが)1925年大英帝国の著名作家が、極東の島国の工芸品の事を作品中で褒めてくれるなんて、嬉しいです。
コメント (2)
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