ケイの読書日記

個人が書く書評

有栖川有栖「ロシア紅茶の謎」

2008-10-26 10:11:34 | Weblog
 6編収められているが、秀作ぞろいの短篇集。イマイチたなぁ、と思ったのは「屋根裏の散歩者」と「ルーンの導き」だけ。それも水準以上だろう。

 表題作の「ロシア紅茶の謎」「八角形の罠」は、実行しようと思うと大変な困難が伴うだろうが、不可能ではない。かなりの準備と練習が必要だが、論理的に可能。

 「動物園の暗号」は動物園で殺された飼育係が、不思議なメモを握って発見されたと言う、暗号ダイイングメッセージもの。これは一読の価値あり。
 私にはサッパリ解けなかったが、旅行が好きで日本全国回っている人などに是非挑戦してもらいたい。

 有栖川有栖って、若い頃は結構旅好きで、あちこちに行っていたんだね。意外!


 「赤い稲妻」はこの秀作ぞろいの短篇集の中でも一番出来が良いと思う。
 若く美しいアメリカ人モデルが、マンションの7階から転落死。目撃情報があり、どうも突き落とされたらしい。
 しかし現場に駆けつけた警察官がドアを開けようとすると施錠されていた。しかもドアの内側にはチェーンが掛かっていた。しかし、室内には犯人の姿はない。
 いったい、犯人は何処へ消えた?

 いわゆる『密室物』。変な小細工をせず、きちんとした解答が用意されている。
 さすが、和製エラリー・クインと言われるだけのことはある。
コメント (6)
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