ケイの読書日記

個人が書く書評

法月綸太郎「雪密室」

2008-12-15 10:25:42 | Weblog
 内扉のサブタイトルー白い僧院はいかに改築されたか?-に惹かれて読む。カーター・ディクスンの『白い僧院の殺人』は有名だけど、たいした事なかったような印象かある。
 この法月綸太郎の『雪密室』の方が出来がいいんじゃないだろうか?

 恐喝が趣味のサディステックな女が、山荘に人を集めた。パーティがお開きになったその夜、女は殺される。
 建物の周囲は雪一色。そして彼女がいたはずの離れまで犯人らしい人物の足跡も無し。
 この雪密室の謎に、法月警視と息子倫太郎が挑戦する。

 トリックは単純だが優れている。有栖川有栖の「スウェーデン館の謎」でもそうだったが、変な器具を使うより、こういった心理的トリックのほうがよほど現実的。なるほど、これなら可能だ。


 この作品は名探偵・法月綸太郎の初登場作品らしい。そのせいか、推理部分と平行して法月家の家庭の事情がかなりつっこんで書かれてあって、読むのにちょっと心理的抵抗がある。
 
 しかし、クイーン親子と法月親子は似てますなぁ、というか似せてますなぁ。
 クイーン親子も異常に仲良しだが、法月親子もベタベタに仲が良い。成人した、しかもたっぷり収入がある男が、女手のない家の中で、オヤジと何つるんでるんだよ、と言いたくなる。(クイーン親子など、休暇を取って二人でドライブなんかに行っちゃってるんです!!)
 また、名探偵役は息子なのに、父親の方が魅力的なのも同じ。息子にガールフレンドが出来ても、父親の方に目移りしないか心配になるね。
コメント (2)
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