ケイの読書日記

個人が書く書評

角田光代「エコノミカル・パレス」

2009-04-24 16:03:08 | 角田光代
 前に読んだ『対岸の彼女』が、すごく読み応えがあったので、続いて角田光代を読んでみる。

 34歳、女性フリーター。年下の同棲相手は失業中。うだるような暑さだというのにエアコンは壊れ、お金がないので買い替えも修理も出来ない。
 生活費の負担はどんどん増える。
 おまけに旅先で知り合った男が会社を辞め、ガールフレンドを連れて転がり込んでくる。もちろん一銭も払わない。

 こんなどん詰まりの生活の中で、彼女はハタチの男の子に恋をした。しかし当たり前だが全く相手にされず…。

 主人公はバブル世代。といってもジュリアナ東京のお立ち台で扇子を手に踊っていた訳ではないが、それなりに良い思いもした。
 割の良いアルバイトはいたる所に転がっていて、フリーターでも不安はなかった。
 しかし…景気が悪くなってくるにつれ時給のいいアルバイトは激減。面接に行っても不採用になる事が多くなった。
 それは年下の同棲相手も同じ。1年たったら正社員にしてくれるという話で勤めた広告代理店を、同僚や上司との摩擦で辞め、3ヶ月先に支給されるという失業保険を待ちつつ家でゴロゴロしている。
 仕事を探しに行く気配はない。
 雑文書きのアルバイトもしている彼女と、同棲相手は6畳プラス3畳のアパートでずーっと顔をつき合わせている。


 あーーー、本当にどん詰まりですね。私は彼女がいつ家から逃げ出すだろうと思いつつ読んでいたが、最後までおなかの中は不平不満で一杯だが、家出はしなかったね。エライです。

 読んでいて気が滅入ってくるけれど、不思議なユーモアもあり面白い作品。
コメント
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