ケイの読書日記

個人が書く書評

霧舎巧「新本格もどき」

2009-12-20 16:32:30 | Weblog
 タイトルどおり新本格の名作7作品のパロディ。
もどかれた元の作品を読んでいれば面白さは倍になるが、読んでいないとシラーっとする。

 「三、四、五角館の殺人」は「十角館の殺人」のパロディ。
 「二、三の悲劇」は「二の悲劇」のパロディ。(「一の悲劇」しか読んでいない)
 「雨降り山荘の殺人」は「星降り山荘の殺人」のパロディ。
 「双頭の小悪魔」は「双頭の悪魔」のパロディ。(この有名な作品を知ってはいるが読んではいない)

 あと「人形は密室で推理する」「長い、白い家の殺人」「13人目の看護師」にも、それぞれ元になる作品があり後書きでそのタイトルについて書かれていたが、浅学な私は知らなかった。

 それよりも、この連作集は登場人物が面白い。
 記憶喪失の吉田さんは、ミステリマニアの店主が作るカレーを食べるたびに有名な名探偵になりきって推理するが、本当は…ナースのエリちゃんが事件を解決しているのだ!
 このエリちゃんが、ミステリなど全く興味が無い所が面白い。そして、吉田さんのマトハズレな推理を聞きながら色々頭が働くのであろう、決めゼリフをはく「あたし、分かっちゃったような気がするんですけど」

 推理オタクを自認する2人の男を尻目に、全くのド素人・エリちゃんが事件をバッサバッサ解決していくのだ。ああ、スッキリするなぁ。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする