ケイの読書日記

個人が書く書評

ドフトエフスキー「カラマゾフの兄弟」㊦巻

2012-11-06 19:53:07 | Weblog
 「カラマーゾフの兄弟」って、こんな話だったんだ!!!
 結局、父親を殺したのは、長男ドミートリィかコックのスメルジャコフか、はっきりしないで終わるんだ。まぁ、この小説はミステリじゃないから、それでもいいんだろうけど。
 しかし…なんて面倒臭い人たちの集まりなんだろう!

 この事件の発端となった(父親と長男を手玉に取った)娼婦も、事件後は聖女のようにしおらしくなったようだが、それなら最初から聖女でいたら?
 冷徹な知識人のはずの二男イワンが、なぜ心の中でバカにしていた兄を救おうと、死の床につくほど悩む?
 長男ドミートリィは、父親を殺そうが殺さまいが、現世での厚生は無理! シベリアかあの世に行くしかない。

 そして主人公のアリョーシャ。小説の中では「清らかな心を持った小天使」のように形容されているが、?????
 コックのスメルジャコフが、父親の私生児(つまり自分にとっては腹違いの兄)という噂を知っていたのにもかかわらず、上の兄2人と同じように、彼を虫けらのように扱う。
 「長兄が殺したんじゃないから、犯人はスメルジャコフ」心の底からそう信じ、証言するんだから恐ろしい。

 自分たちの母親は、まがりなりにも貴族階級に属していたが、スメルジャコフの母親は狂女だったから?
 でも、先妻は若い男と駆落ちしたし、後妻はヒステリックな病で苦しみ、2人とも不幸な死に方をした。

 スメルジャコフの眼から見たカラマゾフ家を書くと、もっと面白い「カラマーゾフの兄弟」が、出来上がるかもしれない。
 とにかく、㊤㊥㊦巻とも読み応えのある作品でした。
コメント
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