ケイの読書日記

個人が書く書評

パーシヴァル・ワイルド「探偵術教えます」

2013-02-14 11:13:56 | Weblog
 アメリカの片田舎の大富豪家でお抱え運転手をしているピートは、通信教育の探偵講座を受講中。(アメリカって通信教育の探偵講座なんてあるんだね。そうか、私立探偵稼業も免許制って、TVドラマで見たことある)

 その彼が、テキストに載っている探偵術を試してみたくて、いろんな所に首を突っ込んではかき回し、滅茶苦茶にするが、どういう訳か最後には事件を解決するというストーリー。
 しかも本人は、そもそも事件に巻き込まれたとも、事件を解決したとも、理解できてないのだ。

 悪人としてまっとうな?犯人が、ビキナーズラックだけが取り柄のピートに振り回され、最後に警察にお縄になる所など、かえって気の毒になる。悪党側に同情しちゃう。邪気が無いというのは怖ろしいね。


 ただ、そのピートも、回を重ねるごとに少しは成長していく。そうするとピートのマヌケ度も下がり、ミステリとしては出来が良くなっても、コメディとしては面白くなくなってくるジレンマ。

 
 うーん、コメディとしてもミステリとしても優れているのは、第6話「P.モーランと消えたダイヤモンド」かな?
 これは、ピートではなく彼のGFが事件を解決。しかし、その前に古今のミステリをお手本に、依頼主の部屋を荒らしまわり損害をかけまくり「ダイヤを見つけたら1000ドル出すといったが、ダイヤを見つけなかったら2000ドルやる」と言われ、追い出される。
 最後はGFが「この事件にはアガサ・クリスティの筆致がある。最も容疑者らしくない人が犯人です!」と叫び、ダイヤは見つかる。

 やっぱりなぁ。誰もが、クリスティ小説の犯人像を、そう感じてるのね。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする