ケイの読書日記

個人が書く書評

三津田信三「凶鳥の如き忌むもの(まがどりのごときいむもの)」

2013-11-18 10:12:07 | Weblog
 この刀城言耶シリーズは、けっこう気に入っていて、数冊読んでいる。みな、高水準の作品。

 戦後まもない頃、怪異譚を求め日本中を訪ねる小説家・刀城言耶は、瀬戸内海にある鳥杯島の神事を取材しに行く。
 島の断崖絶壁に造られた拝殿で、行われる神事。かなり荒々しいものらしい。
 実は、18年前、同じ神事を行っていた前の巫女と6人もの人間が、この絶海の孤島から、跡形もなく消失してしまったという事件があったのだ。いまだに、誰も見つかっていない。死体すらも。
 そして今回も、刀城言耶たちが見守る中、密室状態であった拝殿から巫女が消える!

 うーん、確かに、人間を消失させようと思うと、こういった手段があったのか。ずいぶん気色悪いけど、チベット仏教というヒントがあったのに、なぜ気が付かなかったんだろう。メイントリックは、優れていると思う。

 ただ、この作者の作風なのか、トリックや犯人の仮説をどんどん立てて、さあ、この方向で一気に解決だ!なんて読者に思わせておいて、すぐその仮説をポイっと捨てる所があり、読む方としては、頭の中がぐちゃぐちゃになる。
 無理と思ったら、そんな仮説なんか立てるなよ!


 戦後まもなく、瀬戸内海、孤島、怪奇、民俗…とくれば、いやでも横溝正史を思い出してしまう。特に獄門島など。
 でも、私、瀬戸内の島々って、通過したことはあるけど、逗留したことはないなぁ。一度行ってみたい。
 そういえば、横溝正史資料館って、この辺にあるんだよね。
 
コメント (2)
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