ケイの読書日記

個人が書く書評

東野圭吾「毒笑小説」

2014-01-23 11:01:12 | Weblog
 毒笑というには、少々毒が足りない気がするなぁ。ホロッとするような良い話『つぐない』もあったし。

 面白かったのは『ホームアローンじいさん』。息子夫婦と孫と同居する元教員の爺さんが、他の家族が外出する時に、大学生の孫の隠し持っているアダルトビデオを、こっそり見ようと試みる。
 しかし、家電に疎い爺さんは、なかなかうまく見ることが出来ず悪戦苦闘。
 そういう時に、家族が外出するのを見た泥棒が、留守だと勘違いして空き巣に入り…。
 笑えるなぁ。空き巣はともかく、一人になった高齢者が、こっそりエッチビデオを見ようと奮闘するのは、よくある話だろう。

 一番印象深かったのは『手作りマダム』
 家電メーカーの社宅のようなニュータウンで、上司の奥さんが部下の奥さんたちを集めて、月に一度ホームパーティを開く。
 行きたくはないのだが、ダンナの印象を少しでも良くしようと、皆、参加するのだ。
 上司妻は、手作りが大好きで、クッキー、ケーキ、パスタ、キムチ、ランチョンマットなどを振る舞ってくれるのだが、最低の出来で、捨てる事になる。しかも、捨てるのがバレないよう、細心の注意を払わなければならないのだ。
 そんな時、また集まりがあって…。

 東野圭吾は28歳まで、トヨタ系列のデンソーに勤務していたから、こういった社宅族の奥様方の悲喜劇を、耳にしたことも多かったろう。

 豊田市のキリスト教会の牧師さんと、少し話をしたことがあったが、信者さんたちの教会内の序列って、会社での序列そのままなんだってね。下手に牧師がその序列に介入すると、大変な事になる、とおっしゃってました。
 自営業者には、想像はできても、なかなか理解できません。
コメント
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