ケイの読書日記

個人が書く書評

森博嗣 「今はもうない」

2015-04-10 14:19:14 | Weblog
 「S&Mシリーズ№1に挙げる声も多い、清冽な森ミステリ」と帯に書いてあったので、期待して読んだ。どうやったら、こういう状況になるのか考えるのは楽しいが、しかし、これって、謎解きというより、恋愛小説だよね。


 避暑地にある別荘で、姉妹が、隣り合わせた部屋で、1人ずつ死体となって発見された。当初は自殺だと思われたが、それにしては不自然な事が…。警察には連絡したが、台風がこの地を襲い、電話すら通じなくなる。
 この若くて美しい姉と妹は、なぜ死ななくてはならなかったのか…?



 この小説の構成は少し凝っていて、最初と最後にプロローグとエピローグ、第1幕から第4幕までの本筋のお話の間に、幕間のショートショートが3話はさまっている。

 信州にある西之園家の別荘に向けて、愛車を走らせている萌絵が、助手席にいる犀川先生に、昔起こった事件について話しているのだ。その事件の本筋が、第1~4幕で、プロローグとエピローグ、幕間のショートショートが、ドライブ中の二人の会話。
 作家には申し訳ないが、こっちの犀川先生と萌絵さんのムダ話の方が、生き生きしていて面白い。
 時々、犀川&萌絵の掛け合い漫才は、初期の御手洗と石岡君のコンビに迫ってると思う事がある。(残念ながら、まだ追い越してはいないが)

 この幕間の掛け合い漫才だったら、10回読んでも10回同じところで笑えます。


S「女性って、どうして歳をごまかすんだろう?そんなちょっとのこと変わりないのに」
M「いいえ、大違いなんですよ。たとえばですね。21歳と23歳じゃあ、もう子供と大人の違いといっても良いくらいです」
S「最近、君、どこかで21歳って言ったんだね?」

コメント
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