ケイの読書日記

個人が書く書評

二階堂黎人編「不可能犯罪コレクション」

2015-04-15 10:57:33 | Weblog
 二階堂黎人が編んだ6編のアンアソロジー。

大山誠一郎 「佳也子の屋根に雪ふりつむ」
岸田るり子 「父親はだれ?」
鏑木蓮   「花はこころ」
門前典之  「天空からの死者」
石持浅海  「ドロッピング・ゲーム」
加賀美雅之 「首吊り判事邸の奇妙な犯罪」


 不勉強なので、石持浅海しか知らなかった。でも、みな本格物として、しっかりした作品だと思う。
 特に、大山誠一郎の「佳也子の屋根に雪ふりつむ」は、オープニングにふさわしく、秀逸なトリック。<犯人の足跡なき殺人>の教科書のような作品。
 周囲が新雪で埋め尽くされている医院内で、女医が刺殺された。お正月なので、小さな医院には看護婦さんも、他の患者さんもいない。殺された女医と主人公しかいなかった。医院の周りの新設は、犯行前に降っており、そこには足跡はない。当然、主人公に疑いの目が向けられるが…。

 本格なので、少々のご都合主義には目をつぶろう。トリックがここらへんに隠されているぞ、というサインも親切だし、奇をてらってない所が好感が持てる。素直な本格推理ミステリ。

 ただ…もう少し話をふくらませて欲しい。骨組みだけなのは、短編という枚数の関係だろうか?トリックは優れているが、小説としての面白みに欠けるというか…。
 キャラの魅力が不足しているのも大きい。探偵役の『密室事件専門の精霊』のキャラが薄すぎ!! それとも、場数を踏むごとに、強烈なキャラになっていくんだろうか?

 
コメント
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