ケイの読書日記

個人が書く書評

東川篤哉 「放課後はミステリーとともに」

2015-06-20 11:40:35 | Weblog
 「謎解きはディナーのあとで」で大ブレイクした東川篤哉の学園ユーモアミステリ。
 「謎解きは~」が大ヒットしたので、その後の依頼で書いたのかと思ったら、どうも違うようだ。初出は2003年。この人、2002年にデビューしたので、そのころから書いてるんだ。デビュー前から、ずっと心に温めてきたキャラクター・霧ヶ峰涼と、トリックなんだろう。

 霧ヶ峰涼は、エアコンではない。鯉ヶ窪学園高等部2年で、探偵部の副部長である。探偵部というのは、探偵小説を研究する部ではなく、そのままズバリ!学園周辺で起こった難事件を解決しようと、活動する部である。
 事件は8件。犯人消失、毒入りコーヒー、屋上密室、変形密室、凶器消失etc…あらゆる正統的本格的トリックが使われている。
 ちなみに、ここでは殺人は起こらない。殺されかけるが、命は助かる。
 そうだよ、学園ミステリで、特に名探偵・霧ケ峰涼が仕切っている学園で、殺人事件が起こる訳ない!!と書きたいところだが、霧ヶ峰涼は、事件が起こるのを阻止している訳じゃない。むしろ、事件を待っているのだ。不謹慎だが。


 探偵部の顧問の先生や、他の先生方、友達の力を借りて、事件は解決する。が、解決しない最大の謎が一つ。
 探偵部の部長は誰? どこにいるの?
 副部長は霧ヶ峰だけど、部長の名前は全く出てこない。部員は3~8人いるらしい。(なんではっきりしないんだよ。もしかして、妄想で勝手に入部させちゃってる?)
 私は、話を読み進めていくうちに、出てくるだろうと期待していたが、最後まで読んでも出てこない。
 ひょっとして…作者は、東川篤哉という名前の男子高校生を部長にするつもりだったんじゃ…?! でも、あまりにも恥ずかしいから、できなかったんじゃあ…。私の妄想は膨らむばかりです。


 この作品のユーモアには、レトロ感が漂う。そこが、私などには好ましいが、若い読者には敬遠されるかも。
 どうしてレトロに感じるかなと考えてみるに、サッカーより野球の固有名詞がいたる所に出てくるのだ。作者は、広島生まれのカープファン。
 しかしなぁ…、安仁屋や外木場は分かるが、広島に長谷川なんて名投手いたっけ?
コメント (2)
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