海野十三は、戦前の推理作家として有名な人だから、その作品を読んでみたいと、ずっと思っていた。kindle版があると知ったので、さっそく読んでみたのだが…。うーん、ぼんやり予想してたのとは違うなぁ。
この人、推理小説というより、SF小説の先駆者みたいな人なんだ。そんな作風。
だいたい、「火葬国風景」をなぜ表題作にしたのかな? 11作品収録されている中でも、一番駄作のような気がする。
一番出来がいいのは、なんといっても「十八時の音楽浴」だろう。SFチックな作品だが、適度にユーモアがあり、SF嫌いの私にも、読みやすい。
何度も起きた大きな戦争によって、地球の地表面は、細菌と毒ガスで充満しており、人類は地底で生きるようになった。
そこでは、人々は、18時に30分間流される音楽によって、洗脳され管理されていた。
しかし、為政者たちは、もっと国民を働かせようと、1日中、音楽浴の曲を流したため、精神に負荷がかかりすぎ、国民は全滅してしまう。
科学者も、邪魔だと言って殺してしまったので、火星人が攻めてきた時、為政者たちはなすすべがなく…。
どんな危険思想の持ち主も、30分の音楽浴で模範的な人物となる…、こんなスゴイ音楽があったら、世界中の独裁者が大喜びで欲しがるだろうね。政治家より、宗教家のほうが、欲しがるかも! 実際、こういった人間をコントロールする音楽を研究している人って、いるだろうな。
考えてみれば、音って空気の振動なんだから、十分兵器になりうるよ。
それから、この人の作品の特徴は、軍事色が強いこと。例えば、「盲光線」という作品の中では、主人公が警察と憲兵に協力して、スパイの策略を撃退する。軍人も好意的に書かれていることが多い。
だから、戦後、その責任を問われ、不遇のうちに死んだらしい。
でもなぁ、高名な画家の藤田嗣治なども、若くしてフランスに渡り成功してヨーロッパで暮らしていたが、戦争が勃発したので日本に帰国し、軍部の意向に沿った絵を描くようになる。戦後、それが問題視され、攻撃されそうになると、渡仏。フランス国籍を取りカトリックに改宗し、死ぬまでフランスにいた。
フジタを攻撃する人たちは、フジタがどうすればよかったというの? フランスに亡命? あの時代、東洋人を亡命させてくれただろうか? だいたい、フランスはドイツに占領されたよね。レジスタンスに加われとでも?
結局、日本で生きていくため、好むと好まざるとにかかわらず、軍部に協力せざるを得ないんだ。
この人、推理小説というより、SF小説の先駆者みたいな人なんだ。そんな作風。
だいたい、「火葬国風景」をなぜ表題作にしたのかな? 11作品収録されている中でも、一番駄作のような気がする。
一番出来がいいのは、なんといっても「十八時の音楽浴」だろう。SFチックな作品だが、適度にユーモアがあり、SF嫌いの私にも、読みやすい。
何度も起きた大きな戦争によって、地球の地表面は、細菌と毒ガスで充満しており、人類は地底で生きるようになった。
そこでは、人々は、18時に30分間流される音楽によって、洗脳され管理されていた。
しかし、為政者たちは、もっと国民を働かせようと、1日中、音楽浴の曲を流したため、精神に負荷がかかりすぎ、国民は全滅してしまう。
科学者も、邪魔だと言って殺してしまったので、火星人が攻めてきた時、為政者たちはなすすべがなく…。
どんな危険思想の持ち主も、30分の音楽浴で模範的な人物となる…、こんなスゴイ音楽があったら、世界中の独裁者が大喜びで欲しがるだろうね。政治家より、宗教家のほうが、欲しがるかも! 実際、こういった人間をコントロールする音楽を研究している人って、いるだろうな。
考えてみれば、音って空気の振動なんだから、十分兵器になりうるよ。
それから、この人の作品の特徴は、軍事色が強いこと。例えば、「盲光線」という作品の中では、主人公が警察と憲兵に協力して、スパイの策略を撃退する。軍人も好意的に書かれていることが多い。
だから、戦後、その責任を問われ、不遇のうちに死んだらしい。
でもなぁ、高名な画家の藤田嗣治なども、若くしてフランスに渡り成功してヨーロッパで暮らしていたが、戦争が勃発したので日本に帰国し、軍部の意向に沿った絵を描くようになる。戦後、それが問題視され、攻撃されそうになると、渡仏。フランス国籍を取りカトリックに改宗し、死ぬまでフランスにいた。
フジタを攻撃する人たちは、フジタがどうすればよかったというの? フランスに亡命? あの時代、東洋人を亡命させてくれただろうか? だいたい、フランスはドイツに占領されたよね。レジスタンスに加われとでも?
結局、日本で生きていくため、好むと好まざるとにかかわらず、軍部に協力せざるを得ないんだ。