ケイの読書日記

個人が書く書評

法月綸太郎 「二の悲劇」

2015-10-24 09:57:30 | Weblog
 法月綸太郎は大好きな作家だが…これはイマイチ。この人、寡作だから作品数が少なくても高品質で、ハズレを読んだことないけど、これはハズレだと思う。
 『一の悲劇』っていう作品もあって以前読んだが、そっちの方は面白かった。

 初出が1994年らしいが、作者は極度のスランプに陥って、作家生命が危ぶまれるほどだったと、自分であとがきに書いてある。
 そう、そんな感じ。苦し紛れに書いているって。

 若い女性編集者が、京都の繁華街で、初恋の人を見かけ、声をかける場面から、この物語は始まる。大通りを挟んだ、こちらと向こうで、高校卒業後6年間会わなかった初恋の人を見つけることってできるだろうか? 一方的な片思いで、一度も話したことないのに。
 そのあと、この若い女性編集者の日記が載っているんだが、これがツマラナイ。もう、読むのを止めようかと思ったが、いや、後半に再び、法月警視が登場するかも…と期待して読み続けた。

 そう! 前半は、綸太郎の父親の法月警視の登場機会が多く、私はご機嫌だったのだ!
 エラリー・クイン物でも、私はエラリーよりもお父さんのリチャードのほうが好きだな。(枯れ専?)そういう人って多いと思うよ。考えるに、法月警視の方が、女性の影がチラつかないので安心して読めるのだ。
 綸太郎の方は、若いから仕方ないとしても、この作品では、容子というすれっからしと仲良くなって、一緒にギョーザを作ってる。ムカつくなぁ!
 そういえば、初期の短編集に、図書館司書のカノジョがいたけど、あの子はどうしたの? 名前、なんていったっけ? 清楚なかわいこちゃんだったと思う。

 とにかく、本格推理の名探偵のくせに、女とイチャイチャするな!!! 名探偵は女嫌い、それはもう、ホームズの時代からのお約束です! ハードボイルドは別だよ。


 勘違いやら、思い込みやら、訂正できない臆病さが、複雑に絡み合って、こういった悲劇を生んだのだろうが、どうも作者の法月綸太郎は、女性心理に疎いと思う。女って、こんな行動とらないよ。
コメント
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