ケイの読書日記

個人が書く書評

香山リカ 「老後がこわい」

2017-03-24 10:44:16 | 香山リカ
 『もう親を捨てるしかない』という幻冬舎新書を探していたら、隣にこの『老後がこわい』講談社現代新書があった。香山リカだから、こっちを読もうと借りてきた。
 
 香山リカ氏。1960年生まれなので、私より2つ年下。という事は…立派な50代。未婚で子ナシだけど、なんといっても、ちゃんとした精神科のお医者様で大学教授。それにTVではコメンテーターも務めているし、著書も多数。一般の人より、うんと恵まれている人生だと思うが、それでも先々いろいろ考える事はあるんだろう。

 自分が死んだ時、誰が喪主になるんだろう、親やペットの死をどうやって乗り越えればいいか、自分の入院時の保証人を誰に頼むか、いつまで働けるんだろう、お墓はどうしよう…などなど。

 香山リカさんは、一人っ子ではない。弟さんがいるし、そこには子供も生まれているので、彼らに頼ればいいのよね。弟さんとは仲がいい。リカさんの育った家庭って、エリート家庭にしては珍しく、家族全員仲がいいようだ。特に同業の医者であるお父さんとは、一緒に旅行に行くほど親密。そのお父さんも、数年前に亡くなったけど。

 香山さんの友人が急逝した場合、高齢の親が喪主になることが多いようだ。でも、以前、子どもの葬儀の喪主に、親はなれないと聞いた事がある。逆縁といって。しかし、この少子高齢化の時代、そんなことは言っていられないんだろう。

 
 いろんな心配事があるが、比重が高いのは住居の心配。賃貸の場合、高齢になると、大家さんが更新してくれない事もあるという。だから、気心の知れた友人たちで、グループホームを作ろうという動きがある。
 香山さんには、シングル女性たちが助け合い、適度な距離を保ちながら、一緒に暮らすグループホームを題材にした『眠れる森の美女たち』という小説もある。(小説です。ノンフィクションでない!)かなり前、読んだことがある。
 素晴らしいが…そんなに上手く行くだろうか?というのが正直な感想。

 そういえば、群ようこさんも、老後は友人3人で住もうと約束していて、実際、物件を見に行ったとか。しかし、3人の経済状況もそれぞれだし、要求するものも違うので、買う所まで行かなかったとか。

 親しい友人たちでグループホームを作るというのは、夢のような話だが、一番考えてしまうのは、60~70歳になってから住居を替えると、一気にボケるんじゃないかという不安。特に女って家や家具に執着するから。
 いくらバリアーフリーで新しくキレイな所に住み替えても、朝、目が覚めて「あれっ?ここどこ?私どこにいるの?早くお家に帰らなくっちゃ」と徘徊するんじゃないかと、不安。

 少々段差があっても、古くて隙間風が吹きこんでも、昔から住んでいる家を手直ししながら住み続けた方が、本人の精神にとって良い事なんじゃないかと思う。
コメント
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