ケイの読書日記

個人が書く書評

津村記久子 「くよくよマネジメント」

2017-03-14 16:09:15 | 津村記久子
 先々回「自律神経を整える あきらめる健康法」を読んだから、次もこういった傾向の本を…と思われるかもしれないが、全く違う。単なる偶然。
 私は津村記久子さんの小説が好きなので、図書館に行くと、つい彼女の名の付いた書架を見るが、新作が出ていたので借りてみただけ。
 エッセイでもない、落ち込んだ時の自分の心を、どうマネジメントするかというハウツー本。一種のビジネス書なのかなぁ。


 下がったモチベーションを上げて、仕事の効率をUPしよう、なんて書いてあるわけじゃないが、対人関係で擦り減ったココロをいやし、明日を向こうというカンジ。
 森下えみこさんのイラストも可愛いし、4コママンガも面白い。


 これは、私の勝手な思い込みで、間違っているかもしれないが、津村さんって、バブル世代がすごく苦手なんじゃないかなぁ。
 彼女は就職氷河期世代。だから、就活ですごく苦労した経験は、彼女の色んな作品の中に出てくるし、新卒で入社した会社で、直属の女性上司にパワハラみたいな事をされて、退職に追い込まれた苦い経験は、彼女の作品の核になっているような気がする。

 このエッセイの中にも、バブル世代を揶揄しているような文章がチラリ。

人もうらやむ「余裕のある人」は、いったいどこにいるのでしょうか?それは、わたしにはよくわかりませんが「余裕」を装う人が、一定以上の年齢に一定以上分布していることは知っています。肩肘張らず、今まで流されるままにやってきたから、と笑って言うような人です。適当にやってきたから、とさえ言う人もいます。どうも「余裕」は、ある世代にとっては、1つの絶対的な美徳の基準になっていると見受けられます。(本文13pより抜粋)

 うーーーん、なかなかシビア。「余裕」を装う人からすれば、ただ少し謙遜しているだけ…かもね。でも、就職氷河期世代からすれば、イラっと来ることなんだろう。「余裕」を装う余裕なんてないんだよ!!!ってね。

 でも、津村さんの世代は、堅実で地に足をつけて行動して…本当に素晴らしい事だと思うよ。


























コメント
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