ケイの読書日記

個人が書く書評

村田沙耶香 「きれいなシワの作り方~淑女の思春期病」

2017-04-08 08:37:38 | 村田沙耶香
 村田沙耶香のエッセイなんて珍しいなぁと思って借りたら、やっぱり初エッセイだった。
 『コンビニ人間』で、一躍、時の人になった村田沙耶香だけど、このエッセイ集は芥川賞をとる前の物。『アンアン』に連載されていたものに加筆・修正したらしい。『アンアン』かぁ。驚くなぁ。だって、全くイメージに合わないもの。
 私には、村田沙耶香はかたくなな文学少女という勝手な思い込みがあって、子供の頃や大学時代、教室内でポツンと一人で文庫本を読んでいる、という想像をしていたのだ。でも、この人、結構キャピキャピとした女子大生時代があったんだね。斬新なデザインの洋服を好み、彼の家に毎日通って、白いエプロンを身に着け、朝食と夕食を作って、彼が寝ている間そばにいて、優しくぽっぺたにキスして起こすなんて事、やってたんだ! すごいなーーー! 新婚さんでも、今時やらない。忙しいから。

 それに、お酒が好きで強いから、一人でバーにも行くし、アダルトショップにも一人で行っちゃう。海外旅行も好き。
 友人が少ないと書いてあるが、そんな事ない。「さやかちゃん、さやかちゃん」と呼び掛けてくれる友達がいっぱい。30代後半女性が〇〇ちゃんと呼ばれるのは、けっこう恥ずかしいと思うけど、OKの人もいる。

 世代的には、津村記久子と同じ、就職氷河期世代だけど、違うのは仕事観かなぁ。
 もちろん村田さんだって、ちゃんと仕事をしている。文章を書きながらコンビニでアルバイトを何年も続けている。ただ、津村記久子のような「どうしても正社員になりたい」「会社に入って、契約社員でもいいから、フルタイムで働くんだ」といった強迫観念みたいな強い意志は感じられない。
 ちょっと会社員を見下しているような…そんな雰囲気がある。(ご本人は否定するだろうけど)

 私が、村田沙耶香って本当にすごいなぁと感じたのは『しろいろの街の、その骨の体温の』を読んでから。その女子間のイジメのあまりのリアルさに驚いた。ちょっといないよね。こんなに書ける人って。
 この人も、女の子同士の修羅場をくぐりぬけてきた人なんだ。
コメント
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