ケイの読書日記

個人が書く書評

群ようこ 「小福歳時記」 集英社

2017-05-26 09:32:30 | 群ようこ
 初出は「小説すばる」2008年1月号~2009年8月号に掲載されていたエッセイらしい。あの純文学誌にこんな柔らかいエッセイが…と少し意外。

 タイトルに歳時記とあるだけあって、季節の様々な出来事をお題としている。
 例えば、群さんは、お正月に箱根駅伝を観るのが恒例らしい。やっぱり人気あるよね。私も友人に勧められてTVで観ようとしたが、亭主がチャンネルを変えてしまう。残念!!
 2月の節分には、飼い猫におかめのお面をつけ「福は内」をしようとしたら、死に物狂いで抵抗したとか。まぁ、それが正しい猫の在り方でしょう。

 また、5月には必ずといっていいほど肌トラブルで困ったことになるそうだ。化粧水も受けつけないので浄水器で濾過した水をはたく。何とか元の状態に戻るまで約ひと月。本当に困るだろうね。
 私は中高生の時、顔中にニキビが出来てうんざりしたが、敏感肌ではないので、大人になってからは肌トラブルはめったに無い。

 猛暑の8月は、仕事が本当にはかどらないそうだ。群さんは、クーラーが嫌いでつけないので、一段と停滞する。アイスクリームか水羊羹でも食べて、それで気合を入れて仕事をしようとしても、食べるだけ食べて仕事モードに入れない。太るだけ。多くの女が同意すると思う。

 食欲の秋の10月の章では、群さんの自炊生活が書かれている。料理がキライと公言している群さんだが、接待を受け外食する以外、ほぼ自炊らしい。これは立派だと思う。一人暮らしだと、外食というより中食、つまりコンビニやデパ地下で買ったお弁当を家で食べる事が多くなる。
 そういえば、角田光代が、仕事部屋を自宅と別に借りていて、そこに行く時はお弁当を作るそうだ。あの人、オレンジページという料理雑誌に長くエッセイを連載している。料理が好きなんだな。ダンナもいるし、何か作らない訳にはいかないんだろうな。

 12月は年末にふさわしく、自分の老後について思う所を書いている。2008年の6月に、群さんのお母様が自宅で倒れ、救急病院に搬送された。脳内出血だった。持病もなく元気いっぱいに習い事やエステに通っていたので、群さんも弟さんも突然の事にビックリ!
 入院に際しては、後期高齢者の保険証や生命保険の証書も必要だが、どこにあるのか分からない。とにかく群さんがローンを2/3負担している新築の広い家が、ほぼゴミ屋敷になっているのだ。(群さんはそこには住んでいない)客間の座卓の上には洋服が積まれ、床の間にもプラケースがぎっしり。
 結局、家を維持管理できず、バカでかい物置になってるんだ。

 収入がいっぱいある娘にねだり、目についたもの好きな物を次々買って家を物置がわりにし、毎日習い事やエステに通って、楽しい老後をおくったお母さん。
 老人の過度の物欲は、当人は良いかもしれないが、周囲の人にとっては迷惑でしかない。
 本当にそう。自分の母親と、物で埋まった実家をみて、本当にそう思う。
コメント
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