ケイの読書日記

個人が書く書評

林美保子 「ルポ 難民化する老人たち」 イースト新書

2017-07-05 09:52:56 | その他
 最近、多いなぁ。こういった高齢者の貧困を扱ったルポが。『老後破産』とか『下流老人』とか。
 少子高齢化がハッキリ目に見えるようになってきて、多くの人の関心を引くからだろう。
 
 ミもフタもない言い方だが、ここまで日本人が長生きするようになると、経済的に困窮するのは避けられないと思う。65歳まで働いて、その後、年金もらうとして、何年生きる? 100歳以上生きる人が珍しくない世の中、もしリタイア後35年生きるなんて事になったら、大変だよ?
 主な収入は年金としても、色んな出費がある。孫やひ孫の結婚祝い金とか出産祝い金、親せきの香典代とか供物料、古い家屋の修繕費などなど。貯金を取り崩していくとしても、35年ももつだろうか?


 絵本作家の佐野洋子は、乳ガンで72歳で亡くなった。彼女は自由業だったので年金は支払っておらず、そのかわり、せっせと貯金していた。医者から余命2年と聞き、良かったと思たそうだ。彼女のお母様は長生きで、90歳以上生きた。嫁と折り合いが悪くなり家を追い出され、晩年は長女の佐野洋子が、高級老人ホームに入所させていた。だから、母のように長生きしたら貯金が足りなくなるけどどうしよう!と心配していたそうだ。
 70歳とちょっとで死ぬなら、えーい!つかっちゃえ!!とイングリッシュグリーンのジャガーを即金で買い、お金のかかるホスピスに入所した。
 こういう事実を知ると、ガンで死ぬのも悪くないなぁと思う。


 こういった高齢者のルポは「…だから、国や地方自治体はもっと支援しましょう」「もっと年金を増やしましょう」というトーンになるが、これからの若い人の負担を考えると、とてもじゃないが、そんなこと要求できないよ。
 支払った額の何倍もの年金を受け取ってるんだもの、自分でちゃんとやりくりしてほしい。

 自分の母親をみてもつくづく思うが、医者に行き過ぎ!薬を飲みすぎ!医療費を使いすぎ! 自分の負担がわずかでも、タダでお医者さんが診察して薬をくれるわけじゃない。自分が払ってない分は、若い世代が負担してるんだ。それを忘れないでほしい。
コメント
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