数年前の話題作。まあ、村上春樹の小説は、すべて話題になるけど。
多崎つくるという青年が、大学生の時、高校時代からの親友男女4人から「もう、つきあわない」と拒絶される。その原因も知らされなかった彼は、その疎外感と孤独感に一時は死の淵に立たされ、その危機を脱した後も苦しめられている。
36歳になったつくるは、恋人から、4人から拒絶された理由を、彼らを訪ねて行って今こそ知るべきだと強く勧められ、やっと巡礼の旅に出かけていく…。
ざっと、こんなあらすじ。その拒絶の理由は、あまりにも理不尽なものだったが、問題はそこではない。つくるの件が無かったとしても、完全に調和のとれた5人組は、大学生・社会人となるにつれて、解体していっただろう。
だから、小説の後半にはさほど興味を惹かれない。私が興味を惹かれるのは、恋愛関係にあった相手ではなく、強い信頼で結ばれていると信じていた相手からの拒絶。
実は最近、ニコニコ動画でMMD動画を見ているのだ。その中で『あんさんぶるスターズ』【あんスタ】の動画が特に気に入っている。このあんスタは、元々スマホゲームらしく、人気が出て深夜枠のアニメになったり、あんステとして声優さんたちがステージで歌ったりしているらしい。
私はスマホゲームをやらないし、アニメも見ていない。ただ【あんスタ】のMMDを見ているだけだが、何度も見ていると、画面からそれなりに情報が入ってくる。
夢の咲学園という男子アイドル養成高校のお話で、36人の男子生徒が在籍。各自、何人かでユニットを組んで競い合っている。その中のValkyrieというグループの斉宮宗(いつきしゅう)と言うキャラに心惹かれる。
もとは二兎なずなと影片みか(両方とも名前は女っぽいが男子高校生)と3人でユニットを組んでいたが、なずなが退団し、他のユニットに移った。Valkyrieは人形師と人形というコンセプトで活動して人気があった。宗が人形師で、なずなとみかは操られる人形。でもそのパターンに、なずなは違和感を持ち始める。「まるで自分は生きていないみたいだ」
その違和感はどんどん大きくなり、最終的に宗と決裂。他のユニットに移る。
宗は、なずなのその不満を気づきもしなかった。宗は天才肌の少年で、自分の美しい世界を作り上げることに夢中になっていた。なずなを自分の作った美しい芸術作品と思っていた。
なずなの不満や疑問については、外部からの悪意のある唆しがあったが、なかったとしても、結局は壊れなければならない関係だったんだろう。
そして宗は深い沼に沈む。自分の美しい芸術作品だと思っていたものに拒絶されて。その宗を救ったのは、一緒に沼に沈んでくれた影片みかだった。
宗はもちろん架空の人物。でも、こういった恋よりも強く想っていた相手からの拒絶の傷は、簡単には癒えない。たぶん一生。ぱっと見ただけでは傷はふさがっている。傷跡も分からない。でも、その奥でいつまでも血を流し続ける。
多崎つくるという青年が、大学生の時、高校時代からの親友男女4人から「もう、つきあわない」と拒絶される。その原因も知らされなかった彼は、その疎外感と孤独感に一時は死の淵に立たされ、その危機を脱した後も苦しめられている。
36歳になったつくるは、恋人から、4人から拒絶された理由を、彼らを訪ねて行って今こそ知るべきだと強く勧められ、やっと巡礼の旅に出かけていく…。
ざっと、こんなあらすじ。その拒絶の理由は、あまりにも理不尽なものだったが、問題はそこではない。つくるの件が無かったとしても、完全に調和のとれた5人組は、大学生・社会人となるにつれて、解体していっただろう。
だから、小説の後半にはさほど興味を惹かれない。私が興味を惹かれるのは、恋愛関係にあった相手ではなく、強い信頼で結ばれていると信じていた相手からの拒絶。
実は最近、ニコニコ動画でMMD動画を見ているのだ。その中で『あんさんぶるスターズ』【あんスタ】の動画が特に気に入っている。このあんスタは、元々スマホゲームらしく、人気が出て深夜枠のアニメになったり、あんステとして声優さんたちがステージで歌ったりしているらしい。
私はスマホゲームをやらないし、アニメも見ていない。ただ【あんスタ】のMMDを見ているだけだが、何度も見ていると、画面からそれなりに情報が入ってくる。
夢の咲学園という男子アイドル養成高校のお話で、36人の男子生徒が在籍。各自、何人かでユニットを組んで競い合っている。その中のValkyrieというグループの斉宮宗(いつきしゅう)と言うキャラに心惹かれる。
もとは二兎なずなと影片みか(両方とも名前は女っぽいが男子高校生)と3人でユニットを組んでいたが、なずなが退団し、他のユニットに移った。Valkyrieは人形師と人形というコンセプトで活動して人気があった。宗が人形師で、なずなとみかは操られる人形。でもそのパターンに、なずなは違和感を持ち始める。「まるで自分は生きていないみたいだ」
その違和感はどんどん大きくなり、最終的に宗と決裂。他のユニットに移る。
宗は、なずなのその不満を気づきもしなかった。宗は天才肌の少年で、自分の美しい世界を作り上げることに夢中になっていた。なずなを自分の作った美しい芸術作品と思っていた。
なずなの不満や疑問については、外部からの悪意のある唆しがあったが、なかったとしても、結局は壊れなければならない関係だったんだろう。
そして宗は深い沼に沈む。自分の美しい芸術作品だと思っていたものに拒絶されて。その宗を救ったのは、一緒に沼に沈んでくれた影片みかだった。
宗はもちろん架空の人物。でも、こういった恋よりも強く想っていた相手からの拒絶の傷は、簡単には癒えない。たぶん一生。ぱっと見ただけでは傷はふさがっている。傷跡も分からない。でも、その奥でいつまでも血を流し続ける。