ケイの読書日記

個人が書く書評

津村記久子 「ポースケ」

2015-05-05 21:38:21 | 津村記久子
 変わったタイトルでしょう?「ポースケ」で、何を連想します?
 この本をパラパラめくったら、どうもCAFEを経営している女の人の話だと分かったので、「ポースケ」というのは、その女の人の彼のニックネームだろうと、私は思ったんです。名前の通り、ぽーっとした男の人。

 ところが、全然違うんですよね。「ポースケ」って、ノルウェイの復活祭の事らしい。へー、なんで、そんな発音になったんだろうね。


 このポースケの事を、CAFEの店主ヨシカさんに教えたのは、アルバイト従業員の竹井さん。彼女は…だいぶ津村記久子自身がモデルになってるんじゃないかなぁ?
 きちんと仕事のできるOLさんだったが、高圧的な上司のもとで働くようになってパワハラを受け、精神的におかしくなって退職。睡眠障害で、家に引きこもっているのを心配したお母さんが、時々行っていたCAFEの店主ヨシカさんに、午前中だけでいいから雇ってくれないかと、頼んだのが始まり。

 もともと語学フリークで努力家の竹井さんが、今、凝っているのが、ノルウェイ語とエスペラント。
 竹井さんは、お店のお客さんに、ノルウェイにホームステイしたいと夢を語っていた。そのお客さんが、なぜノルウェイに?と尋ねると、「すごく遠いので」と答えていた。
 分かるなぁ、その気持ち。
 スウェーデンだとノーベル賞があるので、少しはなじみがあるが、ノルウェイだと、北の最果ての国っていうイメージ。睡眠障害に苦しむ日本の女が1人、北の極寒の地でさすらう…。絵になるわぁ。

 それから、エスペラントを学習していたら、同じように学習している人の家に行けるそうです。世界中のエスペランティストによる宿泊可能な家のリストがあって、それを頼って遊びに行くとか。初めて知った。えらいこと知ってるなぁ、竹井さんは。
 こういったユニークな人が集まるヨシノさんのCAFEに、私も行ってみたいです。

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