ケイの読書日記

個人が書く書評

宮部みゆき「模倣犯」

2007-06-01 15:53:57 | Weblog
 宮部みゆきって、どうしてこんなに面白いフィクションを書けるのかなぁ、とつくづく感心。
 とても長い小説なので、登場人物がたくさん出てきて複雑に絡み合う。
 ああ、この人はこういう役回りだな、とか、こう言うふうにストーリーは展開していくんだろう、と自分で予想しながら読み進めていくが、いつも予想はいい意味で裏切られる。
 もっともっと刺激的に話は展開していく。

 ただ、宮部みゆきのヒューマニズムっぽい書き方が嫌い、という人もいる。
 例えば、この連続殺人鬼の片割れが幼い頃から小さな女の子に追いかけられる悪夢を見ている事を、ことさら強調している部分は、「おいおい、10人以上も若い女を殺しているのに、そんなところに逃げ込む気かよ」と毒づきたくなる。

 犯人側の生い立ちとか家庭環境とかを詳しく書くことで、事件に深みを持たせる意味があるんだろうが、もっと乾いた書き方をして欲しかった。

 でも、宮部みゆきの「それでも人間を信じよう」というメッセージは素晴らしい。心の琴線に触れますね。


 この小説の中で、連続殺人鬼が若い女性をどうやって拉致するか、詳しく書かれている。
 盛り場をうろついている女子高生には「モデルやってみないか?」
 家路をいそぐ優しくて真面目なOLには、二人組みで車から「友人が急病で苦しんでいるんだけど、どこか近くに病院はありませんか?」と声を掛け、近づいてきた所を引っ張り込む。
 このブログを読んで下さっている若い女性!! 気をつけてくださいね。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする